【全日本選手権優勝選手】女子63kg級・西牧未央(中京女大)【2008年12月23日】



 2004年アテネ五輪と2008年北京五輪でオリンピックを連覇し、本大会でも6連覇中だった第一人者、伊調馨(ALSOK綜合警備保障)が欠場した女子63kg級は、10月に東京で行われた世界女子選手権でチャンピオンに輝いた西牧未央(中京女大)が圧倒的な強さを見せつけて優勝した。「結果を残せてほっとしている」と安どの表情を見せた西牧は2006年には59kg級、昨年は67kg級で優勝しており、これで3年連続3階級制覇の達成となった。

 「勝たなくてはいけない大会だと分かっていた。今回は内容を重視した」という世界選手権チャンピオン、初戦(準決勝)をわずが33秒でフォール勝ち。迎えた決勝、工藤佳代子(自衛隊)との一戦でも、決して気を抜くことはなかった。「世界選手権の決勝は、大差がついて最後は自分から攻めずに相手の動きを見るような状態になってしまった。試合後に監督から、ブザーが鳴るまでは攻め続けないとダメだ、と言われたんです。だから今日は最後まで攻め続けようと思った」。誓い通りブザーが響くまで攻撃の手をゆるめず、対戦相手を圧倒しての勝利だった。

 西牧にとって今年は、世界チャンピオンとなり飛躍の1年だったと言えるだろう。しかし、晴れて喜べる心境には、残念ながらまだ達していない。「確かに世界選手権で勝てたのはうれしかったし、自信もついたと思います。だけど、10月はワールドカップで負けた選手が出ていなかったし、馨さんも出ていなかった。もし強い選手がたくさん出場していたら、3位に入れたかどうかもわからない。だからもっと努力しなくてはいけないんです」。

 伊調馨が現役を続けるかどうかはいまのところ不明だが、63kg級でオリンピック出場を目指す西牧は「馨さんは尊敬するし、手が届かない存在だと思っていた。いまは目標に変わった」と、ターゲットをはっきりと伊調馨に定めている。女王を倒して真の王者へステップアップする−。2009年は西牧にとって勝負の1年となりそうだ。

(取材・文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)


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