【全日本選手権優勝選手】男子フリースタイル74kg級・長島和幸(クリナップ)【2008年12月22日】



 北京五輪予選に出場した一人、全日本選抜選手権準優勝の高谷惣亮(拓大)が病気のため欠場となったフリースタイル74s級は、ディフェンディング・チャンピオンの長島和幸(クリナップ)が大会3連覇を飾った。

 2008年の長島は北京五輪予選に日本代表として出場。3月の韓国アジア選手権大会は3位に入賞し、五輪への手ごたえをつかんだものの、4月のスイス最終予選第1ステージでは、無名のモルドバの選手に大敗し、出場権獲得ならず。「3度の予選をすべて出場したい」との希望もかなわず、ポーランドでの最終予選は大学1年生の高谷に奪われた。その高谷が出場権を逃したことにより、長島の北京五輪挑戦は終わった。

 「最大の目標はオリンピック。北京五輪を目指してしたので悔しい思いをしました」と1年を振り返った長島は、その後レスリングに対するモチベーションは高くなかったが、それでも9月の大分国体で優勝し、今大会でも勝った。

 今大会のヤマ場は1回戦。6月の全日本選抜選手権を欠場したために、シード権がなく初戦は勝ったり負けたりを繰り返しているライバルの高橋龍太との対戦だった。第1、2ピリオドはボールピックアップでそれぞれ1ピリオドずつ獲得。第3ピリオドでは1−0からラスト5秒でタックルに入られたが、ひざをつかずにこらえ、しのいで勝利した。

 1回戦は紙一重の闘いだったが、2回戦からはカウンター攻撃がうまくはまった。決勝戦は自らのタックルで突破口を開き、ストレートで全日本選抜王者の萱森浩輝(新潟・新潟県央工高教)を撃破。「国内最大の大会なので(優勝は)うれしく思う」と話した長島だが、2008年の北京五輪を競技人生のゴールに設定したこともあり、「(世界選手権や海外遠征は)いますぐには考えられない」と明確な今後については保留した。

 この優勝が来年の世界選手権を本格的に目指すきっかけになるだろうか。

(取材・文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)


《iモード=前ページへ戻る》
《前ページへ戻る》