【全日本選手権優勝選手】男子グレコローマン96kg級・北村克哉(FEG)【2008年12月22日】



 加藤賢三(自衛隊)の北京五輪出場で注目された男子グレコローマン96kg級は、K−1の経営会社のFEGに就職した北村克哉(FEG)が制した。

 昨年の天皇杯王者でもある加藤が10月の国体で引退。昨年の天皇杯準優勝者の齋川哲克(両毛ヤクルト販売)は84s級にエントリー。今回の出場選手16名の誰が優勝しても初優勝という状況。
優勝候補筆頭は、6月の明治乳業杯全日本選抜選手権で初優勝を飾り、8月の全日本学生選手権、10月の全日本大学グレコローマン選手権を制し、08年、三度の頂点に立っている山本雄資(山梨学院大学)と目されていたが、決勝には、その山本を準決勝で下した北村克哉と森保弘(三重・朝明高教)が進出した。

 手四つの組みあいの攻防で0−0で第1ピリオドが終了。ボールピックアップは、北村が獲得したが、お互いにテクニカルポイントがなく、最後を守り切った北村が第1ピリオドを制した。第2ピリオドに入っても、組み手争いで時間が経過していく。40秒過ぎたところで頭部を負傷している北村の治療のため試合が一時中断。北村は準決勝の山本との試合で不慮によるバッティングで左頭部をカットしてしていた。

 試合が再開し、組み手争いのまま第2ピリオド終了。またも両者ポイントがないため、再度のボール・ピックアップ。森がこのチャンスをものにしてローリングで2ポイント。なおも、北村の攻撃をかわして抑え込み、1ポイントを追加してピリオドスコア1−1へ。

 第3ピリオドは10秒過ぎにまたも北村の頭部の治療のため試合が中断。組み手争いの攻防のまま1分経過。両者ポイントなく、またもボール・ピックアップに。北村が優先権を獲得したが、森が30秒間、守り切って1ポイントを奪う。しかし攻守が入れ替わって北村が守り切り、貴重な1ポイントを奪取。1−1のラストポイントを獲得した北村が天皇杯初優勝を飾った。


 北村克哉の話「優勝できてホッとしています。ラスト30秒を守り切れば優勝できるのは分かっていたのですが、コーチが指で合図していたので、立ち上がって攻めました。(準決勝の山本戦で)バッティングしてしまって両者脳しんとうを起こしてしまい、自分だけが切れてしまった。テーピングがちょっと苦しかったです。

 FEG所属ですが、総合格闘技の練習は遊び程度にしかやっていません(笑)。今は母校の専修大学で主に練習しています。スタンドで通用する技を磨いて(引退した加藤賢三先輩のように)世界で通用する選手になりたいです」

(取材・文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)


《iモード=前ページへ戻る》
《前ページへ戻る》