【特集】全日本初制覇を目指し、斎川哲克(両毛ヤクルト)が84kg級で優勝【2008年11月24日】



 おおいたチャレンジ国体のグレコローマン96s級で3連覇を達成した斎川哲克(両毛ヤクルト)が、全国社会人オープン選手権のグレコローマン84s級で優勝した(右写真)

 斎川の通常体重は90sなく、適正階級は84s級。だが、昨年まで在籍した日体大ではチーム事情から96s級や120s級をこなすこともあった。昨年の天皇杯全日本選手権では、北京五輪84s級代表の松本慎吾(一宮運輸=日体大卒)との同門対決を避け、北京五輪の出場権を取ってきた加藤賢三(自衛隊)がいる96s級に参加していた。

 壁だった加藤に勝って国体3連覇を達成した時、斎川は「最後の96s級なので優勝したかった」と話し、今後は心おきなく84s級に腰を据えることを明言した。その84s級復帰戦となる今大会は、全日本選手権の出場権を獲得するための重要な大会になった。しかし、約1年ぶりの84s級参戦も「減量はないので」と体重調整も問題なし。試合内容も、初戦は不戦勝、準決勝と決勝はガッツレンチなどでストレートで快勝した。

 この1年間、96s級に参戦し、自分より10kgほど重たい相手と闘ってきた。2007年世界選手権5位の加藤と最後まで北京五輪代表の座を争ったのも斎川だ。パワーは十分についたはず。84s級では松本先輩ばりの俵返しを出すかと思われたが、「96s級じゃなくても(相手は)重いですよ」と、今大会はガッツレンチ中心の内容(左写真)。それでも84s級の再出発に、斎川は満足気だった。

 12月にはいよいよ全日本初戴冠を目指す。尊敬し目標だった松本先輩は、全日本選手権ではフリースタイル96s級にエントリーし、直接対決はなくなった。この状況だと、84kg級での優勝候補最右翼は斎川となろう。「自分のレスリングをやるだけです」。2012年ロンドン五輪の重量級のエースとして期待される“84s級の斎川”が再出発した。

(文・撮影=増渕由気子)


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