【特集】埼玉が4年ぶりの優勝! 地元・大分は9位と入賞逃す【2008年10月1日】



 10月1日に終了した「チャレンジ! おおいた国体」の都道府県別対抗得点(天皇杯得点)は、埼玉が65・5点で4年ぶりの優勝を遂げた(2位はグレコローマン4階級でベスト4に進出した静岡=60・5点)。フリースタイルで大きな貯金を作った青森が57・5点で3位に入った。

 地元開催だった大分は、日本文理大付高を中心に強化をしてきたが、少年1階級の優勝にとどまり総合9位だった。地元開催県が優勝できなかったのは、第33回(1978年)の長野大会以来(優勝は鹿児島)。

■自衛隊選手の敗退に少年組が踏ん張った

 レスリングの“プロ集団”自衛隊のおひざ元である埼玉は、成年部門で毎年安定して成績を残している。少年の高坂拓也コーチ(花咲徳栄高教)は「いつも少年の成績が伸びなくて総合順位を落としていた」と振り返ったが、今年は埼玉インターハイが行われたばかり。伝統校の埼玉栄に加えて、新興高校の花咲徳栄の2枚看板でインターハイでは埼玉旋風を巻き起こした。

 その十分な戦力のまま国体に臨めたことで、少年部門ではフリースタイル96s級の大山瑛之(埼玉栄)が優勝し、フリー66s級の赤澤岳(花咲徳栄)とグレコローマン120s級の岡倫也(花咲徳栄)が堂々の2位。フリー60s級の柏木健太(花咲徳栄)が3位入賞と5階級で表彰台に上った。

■成年の“しんがり”江藤が社会人初タイトル

 少年の活躍だけで“優勝”は堅いと思われていたが、今年は成年に“アクシデント”が多発。国体V2を狙った2007年アジア選手権2位の大館信也(自衛隊)がベスト8止まり。さらに全日本チャンピオンの新庄寛和(自衛隊)がまさかの初戦(2回戦)敗退。予定の計算と10点以上も違ってしまった。

 “優勝”の二文字を託されたのは、社会人になってからタイトルと無縁なグレコローマン66kg級の江藤紀友(自衛隊)。「埼玉所属の自衛隊は毎年優勝していたのに、今年は優勝できる人が途中で負けてしまって。気づいたら自分だけになってました。周囲から『優勝はお前に託されている』とか言われて、すごいプレッシャーだった」(江藤)。

 全日本レベルの大会での表彰台は常連だが、“優勝”の二文字は学生時代以来遠ざかっている。北京五輪予選代表の藤村義(山口・山口自衛隊)は74s級にエントリーしたが、全日本選抜王者の清水博之(滋賀・滋賀自衛隊)が第1シードだ。決勝戦はその清水との対戦だったが、埼玉優勝のプレッシャーがプラス効果となったか、江藤がストレートで勝利。埼玉の4年ぶりの優勝をアシストするとともに、自身も社会人初のタイトルとなった。

 江藤は「2位や3位はもううんざり。全然うれしくなかった。これが天皇杯(全日本選手権)へのステップとなるといい」と喜びをかみ締めていた。

(文・撮影=増渕由気子)



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