【特集】世界ジュニア3位の平川臣一(専大)がアジア3位倒してベスト4入り!【2008年10月1日】



 今夏の世界ジュニア選手権で、男子グレコローマンで初となる銅メダルを獲得した平川臣一(福岡・専大)が、今度は国内で殊勲を挙げた。「チャレンジ! おおいた国体」の成年グレコローマン2回戦で、全日本王者であり2008年アジア選手権銅メダリストの新庄寛和(埼玉・自衛隊)をストレートで下し、その勢いでベスト4に駒を進め、国体初の表彰台を決定づけた(右写真=準々決勝で栃木の入江泰久を破った平川)

 技がないことがネックだった平川だったが、この半年で急激に力をつけている。その理由は、重量級ではテクニシャンで知られるフリースタイルの全日本選抜王者の荒木田進謙(専大)と毎日スパーリングをしているからだ。「荒木田効果はあります。細かいところをいつも指摘してくれる」。この“荒木田効果”で世界ジュニア選手権や国内のシニアクラスにも通用するようになってきた。世界ジュニア3位をステップに8月下旬の全日本学生選手権でもロシアの留学生ムジコフ・ボリスからフォールを奪いかけたほど。

 その技の感覚はこの日も健在。初戦をテクニカルフォールで片付け、勢いをつけて2回戦の新庄と対戦した。第1ピリオドは静かな立ち上がりだった。平川が「流しに来ているようだった」と振り返るように、互いにテクニカルポイントがなく、ボールピックアップで優先権を得た平川が、後守ポイントで全日本王者から第1ピリオドを奪った。

 後がなくなった新庄は第2ピリオドになると別人のように攻めまくった。平川は必死にいなそうとするが、プレッシャーに耐え切れず両ざしを差されてゾーン際まで後退。「鬼の攻めみたいで怖かった。人が変わったかのようでしたよ」。

 だが、場外際で「体が勝手に反応した」という起死回生の首投げを打つと、それがものの見事に決まって新庄は一回転。その後のグラウンドも鉄壁のディフェンスで守り切り、第1シード選手を撃破した。

 8月の世界ジュニア選手権で表彰台を経験して以来、平川の成長は右肩上がり。レスリングスキルとともに度胸の方もすわってきたかと思われるが、「(肩書きのある選手には)ビビッてます。怖いですよ」と小心者キャラをのぞかせる。

 最終日(10月1日)の準決勝は大学の先輩で“プロ選手”になった北村克哉(東京・FEG)と対戦する。今年3月に卒業したばかりの先輩に、この半年間の成長の証を見せつけられるか。

(文・撮影=増渕由気子)



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