アラ・アブラハミアン(スウェーデン)の銅メダルはく奪は無効へ【2008年8月28日】



 北京オリンピックの男子グレコローマン84kg級の表彰式で、銅メダルをマットに投げだして途中でボイコットし、国際オリンピック委員会(IOC)と国際レスリング連盟(FILA)によって銅メダルをはく奪されたアラ・アブラハミアン(スウェーデン=右写真、アテネ五輪表彰式)のメダルはく奪が無効になりそうだ。

 アブラハミアンとスウェーデン・レスリング協会は、準決勝の判定とメダルはく奪を不服として国際スポーツ仲裁機関(CAS=通称・国際スポーツ裁判所)に提訴。その結果、「国際レスリング連盟(FILA)は正規の手順を行わなかった」としてアブラハミアンの主張を認め、順位のはく奪は無効との判断を示した。

 CASは、FILAのルール第22条「マットコントローラー」の項目(試合の得点結果を変更する協議と、ビデオ検証後の協議の状況があるなら、マットチェアマンの同意を得た上で正しい決定を下す)を指摘し、「FILAは準決勝の試合でこれを遵守しなかった。今後は順守するように」としている。

 CASは試合の勝敗を変える権利は持っておらず、この試合の勝敗とアブラハミアンの3位の変更はできない。FILAのホームページでは、アブラハミアンのメダルをはく奪したことが記載されているが、CASの判決についてはまだ記載されておらず、データベースも空欄のまま。

 アブラハミアンはメディアの質問に対し、「あのメダルを手にしたら、あの判定を認めることになる。国際レスリング連盟は腐っている。腐ったメダルは要らない」とコメントしており、銅メダルを奪い返すというより、意地で提訴したようだ。


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