【特集】「金を越えた銅メダルですよ。あの笑顔は」…父・アニマル浜口氏【2008年8月18日】






 「ロンドン! ロンドン! 京子、ロンドンが待ってるぞー!!」−。3位決定戦を制した浜口京子(ジャパンビバレッジ)が観客席の柵を乗り越え両親の元へやってくると、すかさず父・アニマル浜口氏(右写真)はそう叫んだ。準決勝の王嬌(中国)戦で浜口がフォールを取ったのではないかという意見もある中、その様子を見ていた父は「京子は実力は劣っていないんだ」と断言。だからこそ「ロンドンですよ! ロンドン」と熱い気持ちがあふれた。
 
 王嬌戦の後、母・初枝さんは京子に電話をした。1度目は話ができない状態だったが、もう一度かけると、今度は「はい。はい」としっかりとした返事が返ってきた。「いい試合をしてくれていたから、京子よくやってくれたね。素晴らしかったから、もう1回頑張ろうね」と伝えた。母からの電話に「うん。がんばる」と答えた浜口は、その後の試合で見事銅メダルを獲得した。

 頭突きや世紀の誤審など様々な困難に見舞われ、今年3月に済州島で行われたアジア選手権でつかんだ今回のオリンピックの出場権。他の3選手が早々と五輪の切符を手にし、自分だけにない状況が続いた。「NTC(東京・ナショナルトレーニングセンター)に練習に行くと、五輪の制服が飾ってあるらしいんです。それを見るたびに北京に行きたいな。北京に行きたいなと言っていたんですよ」と母は言う。

 「出られるだけで幸せ」と言っていた念願のマットを踏んだ浜口。金メダルこそとれなかったが、アニマル浜口氏は「金はとれなくても困難を乗り越え出場権を獲得し、銅までいただけて本当によく頑張ったと思う。ほめてあげたい」と娘のファイトをねぎらった。
 
表彰台の上で最高の笑顔を見せる京子をみて「金を越えた銅メダルですよ。あの笑顔、世界一です」。そういったアニマル浜口氏も最高の笑顔になった。

(聞き手=藤田絢子)



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