【特集】相手の得意技を徹底研究してMVP獲得…60kg級・井上貴尋(兵庫・育英)【2008年8月5日】






 昨年の55kg級王者の田中幸太郎(京都・京都八幡)が参戦した60kg級は、井上貴尋(兵庫・育英)が決勝で田中を撃破し、全国高校選抜大会に続いての優勝を飾った。2回戦(初戦)からの5試合で失点0という内容が評価され、最優秀選手に選ばれ二重の喜びだ(右写真=決勝で田中を破った井上)

 父・雅晴さんは日体大OBで育英の監督。兄・智裕選手は日体大の3年生で、2004年に66kg級で3位に入っているレスリング一家。この優勝で父も兄も越えたことになり、照れながらも「うれしいです」とにっこり。

 田中と井上はキッズ時代から何度も闘っているライバルだ。昨年は階級が違ったが、今年に入って田中が階級を上げて同じ階級へ。井上は「決勝には田中が出てくると思っていた。階級を上げてきた選手には負けたくなかった」と、当初から60kg級だった選手の意地を強調。

 「(田中得意の)ローシングルを警戒していた。ずっと研究していた」とのことで、第1ピリオドのローシングル返し
(左写真)は、この研究の賜物のようだ。「第2ピリオドも気を抜くことなく攻めることができ、満足いく内容です」と言う。

 春夏を制したものの、好きなスタイルはグレコローマン。2週間後の全国高校生グレコローマン選手権のあと、9月下旬の大分国体はグレコローマンに出場する。したがって、高校時代に田中と対戦することはなさそうだが、大学(日体大進学予定)へ進んだあとは、闘うこともあるだろう。「基礎体力をしっかりつけたい。

(文・撮影=樋口郁夫)


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