【特集】明治乳業杯の翌日に新人戦で優勝! 山名隆貴の姿勢に日体大の強さを見た!【2008年7月1日】






 明治乳業杯全日本選抜選手権が終わり、北京五輪に出場する10階級の代表選手が全員でそろった。一息つきたいところだが、学生たちに休息はない。6月26〜27日に東日本学生春季新人戦が東京・駒沢体育館で行われたからだ。

 最終日に行われたフリースタイル74s級には、前日の全日本選抜選手権の同級に出場した山名隆貴(日体大2年)の姿があった。「内容は最悪だった」と山名と安達巧監督は口をそろえたが、ルーキーから日体大のレギュラーとして活躍していた実力を発揮し、2日間連続出場を物ともせず優勝を飾った
(右写真)

 レスリングは減量が伴う競技。日程が詰まっている試合に連続出場することは困難だ。しかし、全日本選抜選手権はリミット計量だが、新人戦は2kgオーバーで計量する(注・74kg級は76kg級でOK)。もともと減量が少ない山名は特に問題なく計量をパスした。

 それでも、全日本選抜選手権という国内2大大会のひとつに挑戦したばかりの選手にとって連日での試合は酷にも感じる。全日本選抜選手権に出場した大学1・2年生の中には、この新人戦にエントリーしていない選手もいる。しかし、安達巧監督は「きのう山名は初戦敗退だったし、疲れていないはず。新人戦に出場して当然」とキッパリ言い切った。

 北京五輪の男子代表は、6人中5人が日体大OBで、現在も日体大を拠点としている。こうしたレスリングに対する意識の高さが、強さにつながっているのかもしれない。

 学生は試合数が多い。大学2年の山名は今シーズン、早くも4大会目の出場だ。4月下旬のJOC杯ジュニアオリンピック、5月の東日本学生リーグ戦、そして全日本選抜選手権、新人戦だ。昨シーズンはルーキーとして大活躍だった山名だが、現在、少しスランプ気味。世界&アジアジュニア選手権代表をかけて臨んだ4月のJOC杯は、中大の中井伸一に敗れて代表落ち。リーグ戦では決勝の山梨学院大戦でチームの負けを決定した黒星を喫してしまった。

 「大事なところで負けることが多いです。年下の相手や階級が下の相手とか…」と山名は唇をかみ締めた。新人戦で優勝こそしたが、「練習してきたことが全然できませんでした。2点、3点と取りにいけるようにしたい」と出てくるのは反省の言葉ばかり。

 「内容が悪かったんで、今日は(駒沢から青葉台まで)走って帰ります」と山名。優勝してもペナルティーがつくのが日体大らしい。全日本学生選手権まであと2ヶ月。新人戦優勝におごることなく、山名が学生チャンピオンを目指して走り出した。

(文・撮影=増渕由気子)


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