【特集】五輪予選のあとは学生リーグ戦。夢を追う留学生・デニス・ロバーツ(国士大)【2008年5月6日】






 レスリングのヘビー級、すなわち120s級(フリースタイル)のオーストラリア代表として北京五輪フリースタイル最終予選(5月3日=ポーランド・ワルシャワ)に出場したデニス・ロバーツ。

 現在、国士大に留学中の学生でもある。身長196センチのリーチの長さを生かして北京五輪出場を狙ったが、初戦でラトビア選手にストレートで敗退。第1 ピリオドは場外とバックを取られ、第2ピリオドもたった1度場外に出ただけだったが、勝負の世界は非情で、敗者復活戦に回ることなくオリンピックの夢が断たれた
(左写真)

 ロバーツは「今日の私のタックルが悪かった」と、ばん回できなかったことを悔やんだ。学校の授業を休み、試合の1週間前にワルシャワ入りして最後の調整に万全を期した。「日本でいうJISSのような施設で練習ができて、練習相手もたくさんいた。いい調整ができて いたのに」と好調だったのに結果に結びつかなかった。

 デニス自身、一番の不安要素は体重が108kgしかないこと。「96s級への転向も考えた」と吐露したが、とりあえずは今後も120s級に参戦していくつもりだ。五輪予選が終わったことで、ひと段落つくのかと思われるが、休みはない。「来週の東日本学生リーグ戦(5月8〜11日、東京)に出るよ」。

■国士大再浮上の力強い戦力。荒木田進謙との日豪対決の行方は?

 シングレット(ユニホーム)をオーストラリアから国士大のものに替え、国士大の最後のとりでの階級で闘う。最大のライバルは荒木田進謙(専大)で、予選ブロックで顔を合わせることは確実。ともに、今回の五輪予選に出場していた。国士大の代表として、またオーストラリアの代表として、負けられない。

 「以前、荒木田と対戦したときは1−2で負けた。まだ荒木田の方が強いと思うけど」と謙そんしたが、8月末の全日本学生選手権までにはウエートアップで立派な120s級になることを約束。ウエートアップに成功すれば、荒木田の学生相手の連勝記録をストップさせることも夢ではない
(右写真=セコンドは日本チームの和久井始コーチがかって出た)

 デニスが体重にこだわり続けるのは、大学卒業後の壮大なプランを実現させるためだ。「総合格闘技のDREAM、K-1、戦極に出たい。また、アメリカに行って、UFCに出たい」。

 地元の高校卒業後、一度は堅実に就職したが、夢を追い続けて、現在27歳で大学3年生を謳歌するロバーツ。世界を股にかけた活躍に注目だ。

(文・撮影=増渕由気子)

■デニス・ロバーツ
 フリースタイル120kg級。1980年12月8日、オーストラリア生まれ。国籍オーストラリア。196cm、108s。国士大3年生。母国の高校卒業後、一度は警備会社に就職。その後退職し、総合格闘家を目指して日本にレスリング留学中。


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