【特集】多くの技を試す目的は達成され、あとは練習のみ…男子グレコ96kg級・加藤賢三【2008年3月23日】








 世界5位の肩書きを引き下げてアジア選手権に参加した男子グレコローマン96kg級の加藤賢三(自衛隊)は、準決勝で2006年大会覇者のアセムベコフ(カザフスタン)に、3位決定戦でもアブデュマリク・アリエフ(ウズベキスタン)に連敗し、5位に終わった。

 しかし、準決勝の黒星はボールピックアップの結果のようなものであり、内容は互角。3位決定戦でも得意の首投げを試すことができた。すでに五輪出場権を持っているだけに、結果よりも多くの技を試すことが目的の大会であり、「それができたことは大きかった」と言う。

 首投げは、世界の敵から研究されるために2月の欧州遠征の時でも控えてきたが、この大会の3位決定戦で“解禁”。投げる前の相手への圧力のかけ方は十分にできており、第2ピリオドの首投げは見事にかかった
(右写真)

 しかし、押さえ込みが不十分で反対側に返されてしまって逆転されてしまった。「投げっぱなしじゃダメです。しっかりフォールへ持っていかなければ」と反省点。得意技ではあるが欠点が見つかり、「まだ練習を積まなければなりません」と振り返った。

 攻撃では「ガッツレンチを決められない時の、がぶり返しへの移行」などに課題が見つかり、今後の練習の重点強化部分となりそう。全日本チームとしては6月ころに欧州遠征で最後の実践練習を計画しているが、加藤は「練習しなければならないことがたくさんある。実戦より、国内でしっかり練習したい」という希望を口にした。

 自衛隊の元木康年コーチは「この大会でもメダルを取れれば、もっと自信がついたんですけどね…」と5位という結果に無念の表情だが、「しっかり守ったら、きちんと守れるようになった。前は、しっかり守っても守れなかった」と防御の成長を褒めた。

 同じ自衛隊の選手で120kg級の新庄寛和が銅メダルを取った。「練習をお願いしたいと思います」と話しながら、重量級2人での奮起を誓った。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



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