【特集】強烈な頭突きにもめげずに銅メダル獲得…男子グレコ60kg級・北岡秀王【2008年3月23日】








 五輪出場権争いとは関係ないが、男子グレコローマン60kg級の北岡秀王(クリナップ)が傷だらけの銅メダルを獲得した。3位決定戦の相手のナム・キョンジン(北朝鮮)から強烈な頭突きを数発受け、試合後は左目下を打撲のほか、むち打ち症のようになって首を動かせない状況。

 セコンドの再三の「ヘッドバット!」という声にも警告の宣言はなかったが、北岡は執念の攻撃で第1、2ピリオドともラスト30秒のグラウンド攻撃でポイントを挙げ、銅メダルを引き寄せた
(右写真)

 満身創い、ガッツを出し切っての銅メダルだが、北岡は「こうなってみると、決勝にいけなかったのが悔しいです」。激痛に襲われていることもあって、試合後にも笑顔はなく、ポツリポツリと話した。

 初戦のキルギス戦は「全体として終始リードしていた。勝負どころで迷いがあり、ポイントが取れなかったのが敗因」と言う。技をかけられての失点は1点だけだっただけに、悔しさもひとしおといったところだ。

 それでも、2年前のこの大会では試合中にろっ骨を痛めて途中棄権という屈辱を味わっているだけに、「この3位は、これからやっていくうえでプラスになると思います」と言う。国内では最近、松本隆太郎(日体大=ヤクルト群馬入社予定)の後塵を拝しているだけに、「まだやらなければならないことは、たくさんある」と言う。

 そんな北岡を見守りながら、クリナップの今村浩之監督は「初日に長島(和幸)が銅メダルを取り、最後に北岡が銅メダル。2人とも課題をひとつひとつ克服し、もっと上を目指してもらいたい」と話し、所属2選手のメダル獲得に最低の目標はクリアといった表情だった。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



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