【特集】3位決定戦の圧勝で気持ちを切り替え、最終予選へ…男子グレコ66kg級・飯室雅規【2008年3月23日】








 男子グレコローマン66kg級の飯室雅規(自衛隊)は、初戦で昨年世界8位になって五輪出場資格を獲ったヤルカン・バヤフメトフ(カザフスタン)を破ったものの、続く準決勝で2006年アジア大会王者の金a哲(韓国)に敗れ、この時点で出場権獲得の可能性が消えた。しかし3位決定戦で気力を振り絞り、一本背負い(右写真)からのフォールで勝って銅メダルを確保した。

 2005年大会2位、2006年アジア大会3位に続くアジアの大会でのメダル獲得(昨年は出場せず)。それだけを見れば安定した実力を発揮したことになるが、五輪出場権獲得が目標の大会だけに、喜ぶことはできない。試合後の取材陣からの「おめでとう」の言葉に対して、「おめでとう、ではないです」と言い返した。

 金a哲戦は第1、2ピリオドとも1ポイント差の惜敗。特に第2ピリオドは場外際の攻防をめぐって微妙な判定に見えたが、飯室自身は「仕方ない。場外に出てしまっては場外逃避を取られる可能性があるので、体を曲げたら、返されてしまった」と、ジャッジへの不満はない様子。

 「グラウンドのちょっとした差なんですよ。ちょっとした差で勝敗が変わります」。それは、このあとの最終トライアルに出る選手の実力差が横一線であることを実感したことでもある。

 3位決定戦では、落ち込む気持ちを立て直して臨み、俵返しや一本背負いを豪快に決めて圧勝。5月の最終トライアルへ向けて力強いアピールをして締めくくった。「気持ちを新たにして5月のトライアルに臨みます」−。


(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



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