【特集】初戦敗退だったが、伝統を守ろうとする意識は十分…女子51kg級・甲斐友梨【2008年3月22日】








 51s級世界V5の最強レスラー、坂本日登美の後継者として名乗りをあげる甲斐友梨(アイシンAW)。アジア選手権は過去2度、銀メダルを獲得している。今大会は3度目の正直で金メダルを狙ってマットに立った。

 しかし、初戦の中国選手に黒星。3度目の正直の優勝どころか、表彰台からもこぼれ落ちてしまった
(右写真=善戦むなしく初戦黒星の甲斐)。「減量も、食べながら落とせたし、今までで一番調子がよかったのに、マットに上がったら足が動かなかった」。まさかの敗退に「何で負けたんだろう」と涙も出ないほど実感がわかなかった。

 女子は7階級中5階級で金メダル、1階級で銅メダルを獲得した。表彰台に上れなかったのは甲斐だけ。自分のいない51s級の表彰台を見つめながら、甲斐は考えられる原因を挙げた。「十分なアップができなかったのかも。それとポイントを取る執念が足りなかった」。

 思わぬ惨敗を喫した甲斐だが、意識の高さに救いを感じる。「51s級の日本は誰が出ても強くなくてはいけないし、表彰台に上がった選手との実力の差はないと思っています」と世界V5の坂本日登美や51kg級時代の伊調千春が築き上げた伝統をしっかりと受け継ごうとしている。その坂本に対しても「超えなくてはいけない存在」とライバル意識は十分。「私はいま23歳。いま、坂本先輩を超えなくてはいけないんです。そうしないと、私の下の世代が来てしまう」。

 51s級は五輪の非採用階級。もちろん五輪へのあこがれもある。「51s級でチャンピオンになって、ロンドン五輪を目指したい」。今回は初戦でつまずいてしまった甲斐は、この“落とし前”を4月のジャパンビバレッジ杯全日本女子選手権できっちりつけるつもりだ。

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)



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