【特集】大学の卒業式の日にアジア女王に…女子67kg級・新海真美【2008年3月21日】








 3月20日−。この日は、中京女子大学の卒業式が行われた日だ。大学生活4年間の締めくくりの日に、女子67kg級の新海真美(中京女大)は韓国・済州島のマットに立っていた。 「本当は卒業式に出たかったです。けど、これで同級生にいいお土産ができました」(左写真=優勝を決めた両手でガッツポーズの新海)

 大学生活の締めくくりにふさわしい戦いが1回戦から見られた。インド選手を相手に第1ピリオドの終盤、勝負どころでタックルからのバックを奪って1点。これで流れを引き寄せた。

 2回戦も第1ピリオドを奪うと、第2ピリオドは落ち着いた試合を展開。崩しからのバックを奪い、逆転を狙って大技をかけてきた相手をしっかりさばいてポイントを追加。決勝でもモンゴル選手をフォールで下した。

 67s級は唯一世界選手権で優勝がない階級。それでも新海は「67s級が世界で勝てないとは思っていない」とキッパリ。今年の世界選手権での活躍を誓った。そのためには、やらねばならないことがある。

 ジャパンビバレッジ杯全日本女子選手権(4月5日、東京・駒沢体育館)で優勝して、プレーオフに持ち込み勝つこと。12月の天皇杯全日本選手権は西牧未央(中京女子大)に敗れて2位。このままでは今年10月に東京で行われる世界女子選手権の代表には選ばれない。

 それでも新海には自信がある。この1年間、伊調馨から引き継いだ伝統ある中京女大の主将を務めた。「プレッシャーはありましたよ。3代続いて五輪出場者が主将だったんですから(伊調千春、吉田沙保里、伊調馨)」と本音を吐露。しかし、その主将を経験して一回りもふた回りも成長した
(右写真=富山英明強化委員長が新海に栄和人監督の頭にキスを命令し、強引にさせようとするが、新海は徹底拒否!)

 その結果がアジア選手権優勝。シニアの国際大会では初めての金メダルだ。伊調姉妹、吉田沙保里、浜口京子-−。おなじみになってきた日本女子レスリング界に、新海真美という新たな女王が誕生した。

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)



《iモード=前ページへ戻る》

《前ページへ戻る》