浜口京子(ジャパンビバレッジ)が優勝、北京五輪出場権を獲得…アジア選手権第3日【2008年3月20日】








 アジア選手権第3日は3月20日、韓国・済州島のハルラ体育館で女子全階級が行われ、北京五輪出場権獲得を目指す72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)が3試合に勝って優勝。五輪出場権を獲得した。

 ほかに48kg級の伊調千春(ALSOL綜合警備保障)、55kg級の吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)、63kg級の伊調馨(ALSOK綜合警備保障)、67kg級の新海真美(中京女大)が優勝した。

 72kg級の浜口は1回戦で許晴(シュ・クイング=中国)にあわやフォール負けのピンチに追い込まれたが、脱して最後はフォール勝ち。準決勝でも韓国選手に圧勝した。反対側のブロックからは同じく出場権の持っていないオツルバト・ブルマー(モンゴル)が勝ち上がり、五輪出場権をかけた対戦。浜口が1−0、1−0ながら安定した試合運びでピリオドスコア2−0で勝ち、3年連続でアジア・チャンピオンに輝くとともに、北京五輪行きのキップを手にした。

 連勝ストップからの再起戦となる55kg級の吉田は4試合を無難に勝って優勝。48kg級の伊調は決勝で2006年世界選手権決勝の再現となる任雪層(中国)に勝ち、63kg級の伊調馨(ALSOK綜合警備保障)は準決勝で世界2位のカザフスタン選手を破って姉妹優勝を達成。67kg級の新海真美(中京女大)は初優勝を遂げた。

 59kg級の梶田瑞華(中京女大)は準決勝で世界ジュニア・チャンピオンのリ・ソンニ(中国)敗れて3位決定戦へ回り、勝って銅メダルを獲得。51kg級の甲斐友梨(アイシンAW)は初戦で敗れ、敗者復活戦へ回れなかった。

 国別対抗得点は日本が64点で優勝、2位が57点の中国、3位が53点のカザフスタンだった。

 各階級の成績は下記の通り。21日は試合がなく、22日から男子グレコローマンがスタートする。


 ◎女子

 
【48kg級】伊調千春(ALSOK綜合警備保障)    優勝=9選手出場

1回戦 ○[2−0(1-0,2-1)]Enkhjargal Tsogtbazar(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオドの前半、伊調が相手のタックルを受けて回り込み1点。このポイントを守った。第2ピリオド、伊調が序盤に正面タックルで1点。ラスト45秒にタックルを決められ1点を奪われたが、反撃して体を入れ換え、バックを取り返して2−1とした。

2回戦 ○[2−0(3-0,@L-1)]Eshimova-Turtbayeva Zhuldyz(カザフスタン)

 《試合経過》第1ピリオドは中盤に伊調が正面タックルを決めて3−0。第2ピリオドはラスト31秒、伊調の正面タックルをいなされて1点を失った。しかし正面タックルでラスト5秒に1点を返し、1−1のラストポイントで勝った。

【1回戦2P】中盤に正面タックルを決めた伊調(赤)。 【1回戦2P】ラスト26秒に1点を勝ち越し、初戦白星。 【2回戦2P】3−0からさらに攻めた伊調(青)だが、惜しくも場外。 【2回戦2P】0−1とされたが、ラスト5秒に正面タックルで逆転。

準決勝 ○[2−0(1-0,2-0)]Wu Li-Chuan(台湾)

 《試合経過》伊調が第1ピリオドの中盤、正面タックルでテークダウンを奪って1−0。第2ピリオドは24秒に崩して送り出し1点を先取。ラスト12秒にバックを取って2−0とした。

【準決勝2P】決勝進出をかけて台湾選手と闘う伊調(青)。 【準決勝2P】1−0のあと、ラスト12秒に決定的な1点。

決勝 ○[2−0(1-0=2:03,1-0)]Ren Xueceng(任雪層=中国)

 《試合経過》第1ピリオドは0−0で2分間終了。ボールピックアップで勝った伊調が確実にテークダウンを決めた。第2ピリオドは中盤に伊調が回りこんで1点を取り、そのままのスコアで試合終了。

【決勝1P】0−0のあと、クリンチからテークダウンの伊調(青)。 【決勝2P】中盤、かなり粘られたがしつこく攻撃を続けた伊調が1ポイント。勝利を近づけた。 【表彰式】2004年以来のアジア・チャンピオンに輝き、北京へ。

 【51kg級】甲斐友梨(アイシンAW)     5位=7選手出場

1回戦 ●[1−2(0-1=2:05,1-0=2:11,1-4)]Huang Wenjuan(黄文娟=中国)

 《試合経過》第1ピリオドは0−0。クリンチの防御となった甲斐はこらえられなかった。第2ピリオドも0−0で終わり、またもボールピックアップで負けた甲斐だが、粘ってうっちゃり気味に相手を場外に出して逆転勝ち。

 第3ピリオドは甲斐のタックルをがぶられ、足首を取られて一気にエビ固めを決められ0−4へ。最後に1点を返したが及ばなかった。

【1回戦1P】あと一歩でテークダウンまで攻めた甲斐(青)だが…。 【1回戦3P】0−4から1点を返したが、残り10秒では逆転できず。

 【55kg級】吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)    優勝=11選手出場

1回戦 ○[2−0(1-0,3-0)]Tomar Alka(インド)

 《試合経過》第1ピリオド、腰を引いて防御一辺倒の相手に吉田も慎重になってポイントを取れない。しかしラスト20秒、右脚へのタックルを決めて1−0。第2ピリオドはがぶってテークダウンを奪い、これが2点。中盤にも相手のタックルをかわして1点を挙げ3−0とした。

2回戦 ○[2−0(3-1,6-3)]Xu Li(許莉=中国)

 《試合経過》第1ピリオド中盤、吉田が回りこんで2点となるテークダウンを奪って先制。ラスト40秒にも1点。終了間際にバックを取られて1点を失ったが、3−1で終了。第2ピリオド、タックルの相打ちから吉田が場外へ出てしまい、場外逃避で1失点。すぐに1点を返した。中盤、タックルを受けて返したが、ビデオチェックで両者2点で3−3へ。しかし後半、1点を3度取って6−3と突き放した。

【1回戦1P】及び腰の相手に慎重に攻めた吉田(青)。 【1回戦1P】右脚へのタックルから持ち上げた。惜しくも1点。 【2回戦1P】若手選手だが、要注意の中国と対戦。 【2回戦2P】相手のタックルを横に返したが、判定は両者2点。

準決勝 ○[フォール、2P0:53(1-0,7-0)]Otgonjargal Naidan(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオドの前半、吉田が右脚へのタックルで1点を取り、このポイントを守る。第2ピリオドは開始早々に正面タックルで2点を取り、さらに片足タックル。相手のタックルを受けて押さえ込み、そのままフォールした。

【準決勝2P】正面タックルからニアフォールで2点の吉田(青)。 【準決勝2P】最後はきっちりフォールを決めた。

決勝 ○[2−0(1-0,TF6-0=1:58)]Abdrakhmanova Saltanat(カザフスタン)

 《試合経過》第1ピリオド、吉田は慎重になった0−0で試合が進んだ。しかしラスト15秒を切ってからタックルで1点。第2ピリオドはタックルが2度決まって2−0。さらにテークダウンを奪い、腕を取ってニアフォールへ。フォールはできなかったが6点差をつけた。

【決勝2P】吉田(青)は右脚へのタックルから1点を先制した。 【決勝2P】右脚へのタックルから押し出し2−0へ。 【決勝2P】腕を取ってフォールを狙う。逃げられたがTフォール。 【試合後】恩師の栄和人監督が再出発の門出を祝福。

【表彰式】連勝ストップ後の初の大会を無難に優勝し、さわやかな笑顔を見せた吉田。

 【59kg級】梶田瑞華(中京女大)     3位=7選手出場

1回戦 ○[フォール、2P1:28(2-0,6-3)]Narangaraev Cjagnaadorj(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオド中盤、梶田が相手の投げ技をあびせ倒しのような形で返して2−0。第2ピリオドは正面タックルとアンクルホールドで2−0。梶田の次の攻撃は、一度は腰投げ気味に投げられたが、すぐに体を入れ替えて押さえ込み、フォールした。

準決勝 ●[1−2(2-2L,1-0,0-3)]Li Songni(中国)

 《試合経過》第1ピリオド、梶田が正面タックルで1点を取ったが、1−1、2−1、2−2と得点が動き、ラストポイントで落とした。第2ピリオドは0−0で進んだラスト10秒に梶田が右脚へのタックルで1−0へ。

 第3ピリオドも0−0で進み、終了間際に仕掛けた梶田の攻撃をカウンターで返されてニアフォールに追い込まれ、0−3とされてしまった。

【1回戦1P】シニア初の大舞台。1Pを先取した。 【1回戦2P】グラウンドで相手の体勢の崩れをついてフォールへ。 【2回戦3P】0−0で試合が進み、梶田(青)がタックル。しかし…。 【2回戦2P】タックルをカウンターで返され、痛恨の3失点。

3位決定戦 ○[2−0(2-0,5-3)]Jung Hae-Rim(韓国)

 《試合経過》第1ピリオド、梶田が右脚への片足タックルを2度決め2−0。第2ピリオドは2度のタックルで2−0としたものの、ラスト25秒に組みつかれて投げられ3失点。しかし、すぐに体を入れ替えて3−3。すぐにガッツレンチで5−3と逆転した。

【三決戦1P】優勝は逃したが、銅メダルを目指す梶田(青)。 【三決戦1P】終盤、片足タックルで2点目を奪う。 【三決戦2P】初のシニアの大会で銅メダルを獲得。 【表彰式】シニアの表彰台の味は? 次は10月の世界選手権を目指す。

 【63kg級】伊調馨(ALSOK綜合警備保障)     優勝=8選手出場

1回戦 ○[2−0(4-0,1-0)]Ge Zhen(葛珍=中国)

 《試合経過》第1ピリオド中盤、伊調が正面タックルで3点を取り、トルコ刈りで押さえ込んだ。1分近く押さえたが惜しくもフォールはならず。第2ピリオドは前半にタックルで1点を取り、そのままのスコアで終了。

準決勝 ○[2−1(2-0,0-1=2:04,2-0)]Shalygina Yelena(カザフスタン)

 《試合経過》第1ピリオドの中盤、伊調が左足首を取って1点を取り、終了間際の相手のタックルをかわして2−0。第2ピリオドは0−0で2分間が終了。ボールピックアップで負けた伊調が、クリンチからお尻をついただけで体は返っていないのに1点が挙がる不可解な判定で取られた。

 第3ピリオドは開始早々にバックを取って1点を取った伊調が、ラスト25秒に相手の一本背負いをしのいでバックを取り、2−0として勝った。

【1回戦1P】世界チャンピオンの貫録十分で圧力をかける伊調(赤)。 【1回戦1P】トルコ刈でフォールを狙うが、惜しくも時間切れ。 【準決勝1P】昨年の世界選手権決勝の相手に1点を先制の伊調(赤)。 【準決勝2P】クリンチからこれで1失点。納得いかない判定で1−1へ。

決勝 ○[2−0(TF6-0=1:17,1-0)]Odonchimeg Badrakh(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオド、伊調が左脚を取ってバックを取り、またさきで2点。さらにアンクルホールド3回転で6−0。第2ピリオドは中盤にくぐって1点を取り、そのままのスコアで勝った。

【決勝1P】伊調は片足タックルのあと、寝技で加点した。 【決勝2P】中盤、くぐるようなタックルで貴重な1点。 【決勝2P】優勝を目指し、最後の力を振り絞る。 【表彰式】姉・千春優勝の約1時間後、同じ場所に立った。

 【67kg級】新海真美(中京女大)      優勝=6選手出場

1回戦 ○[2−0(1-0,3-0)]Kundu Suman(インド)

 《試合経過》第1ピリオド、お互いにポイントが取れなかったが、ラスト15秒に新海が正面タックルを仕掛け1−0。第2ピリオドは中盤に新海が正面タックルで1点を取り、相手の飛行機投げをこらえて1点を追加。終了間際にタックルを押しつぶして3−0とした。

準決勝 ○[2−0(2-1,4-0)]Zhang Fengliu(中国)

 《試合経過》新海が開始40秒に左脚を取られて1失点。しかし1分4秒、1分35秒に1点ずつ取って逆転。第2ピリオドは新海が開始30秒で1点を取り、中盤にも1点を2度。終了間際にも1点を加え4−0とした。

【1回戦1P】ラスト15秒、片足タックルで1点を取った新海(青)。 【1回戦2P】相手の飛行機投げを抑えてポイントを取った。 【準決勝1P】相手のタックルをこらえた新海(青)だが最後は1失点。 【準決勝2P】このピリオド3度目のテークダウンで3−0。

決勝 ○[フォール、1P1:52(6-0)]Nasanburmaa Ochirbat(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオド、新海が左脚を取ってテークダウン。中盤にも押し出して2−0。ラスト30秒を切ってから、組みついてひねり倒し、上四方固めのようにしてフォールを奪った。

【決勝1P】新海(青)は相手の左脚へのタックルをしつこく決めた。 【決勝1P】グラウンドで攻めて、上四方固めでフォール。 【決勝1P】昨年の大会の銅メダルをはね返し、見事に優勝。 【表彰式】アジア一に輝いた新海だが、敵は国内にいる!?

 【72kg級】浜口京子(ジャパンビバレッジ)     優勝=8選手出場

1回戦 ○[フォール、2P0:50(2-3,3-0)]Xu Qing(許晴=中国)

 《試合経過》第1ピリオド開始直後、浜口ががぶってバックを取って1点。中盤、片足タックルをがぶり返しで返され、ニアフォールに追い込まれる苦しい体勢。辛うじてフォール負けから脱したが、2−3のスコアでこのピリオドを落とした。第2ピリオドは左足へのタックルから一気にけさ固め。こん身の力でフォールを決めた。

【1回戦1P】がぶりから1点を先制した浜口(青)。 【1回戦1P】がぶり返しを受け、あわやフォールに追い込まれた。 【1回戦2P】タックルからけさ固め。こん身の力でフォール。

準決勝 ○[フォール、1P0:16(4-0)]Hwang Eun Joo(韓国)

 《試合経過》浜口が開始のホイッスルと同時に相手に圧力をかけ、押し倒してそのままフォールを決めた。

【準決勝1P】初戦の苦い思いを振り払うべく2回戦の浜口(青)。 【準決勝1P】圧力をかけて倒し、一気にフォールした。

決勝 ○[2−0(1-0,1-0)]Burmaa Ochirbat(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオド30秒、左脚を取った浜口がテークダウンを奪って1−0。第2ピリオドも26秒に浜口が右脚へのタックルで1点を取り、このポイントを守りきった。

【決勝1P】相手の左脚への片足タックルを狙う浜口(赤)。 【決勝1P】やや粘られたが、最後は足首を取ってテークダウン。 【決勝2P】前半に1−0とリードし、優勝目指して必死の闘いを続けた浜口。

【決勝2P】優勝! 北京五輪へのキップをつかんだ。 【試合後】観客席へ上がり、母・初枝さんに優勝を報告。 【表彰式】3年連続の金メダルを誇らしく見せる浜口。 【表彰式後】涙いっぱいのA浜口さんにメダルをかける。浜口。


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