高塚紀行(日大)が痛恨の銀メダル、五輪出場権を逃す…アジア選手権第1日【2008年3月18日】








 北京オリンピックの出場権獲得を兼ねたアジア選手権は3月18日、韓国・済州島のハルラ体育館(右写真)で開幕。男子フリースタイル3階級が行われ、60kg級の高塚紀行(日大)が決勝へ進み、ヨゲシュワル・ドゥット(インド)相手に北京五輪出場まであと一歩と迫ったが、ラスト1秒に痛恨の逆転負け。目の前に見えた五輪出場権を逃した。

 高塚はタックルから場外へ押し出す攻撃がさえ、初戦で中国選手を、2回戦で2006年アジア選手権3位のスクバータル・センゲドルジュ(モンゴル)を連破。準決勝で2006年世界王者のモハマディ・セイドモラド(イラン)に失点を許さずにピリオドスコア2−0で勝利し、決勝へ進んだ。決勝はピリオドスコア1−1のあと、第3ピリオドのラスト12秒に高塚が相手を場外に押し出して貴重な1点を先取。しかし、ドゥットの執念のくぐりタックルにバックを取られてしまいラスト1秒に1−1。ラストポイントで敗れてしまった
(左下写真=決勝でドゥットと闘う高塚)

 74kg級の長島和幸(クリナップ)は、1回戦でヨルダン選手に勝ったあと、2回戦で2002年アジア大会王者の゙炳官(チョ・ビュンクワン=韓国)に敗れた。敗者復活戦で勝って3位決定戦へ。この階級は優勝選手のみが五輪出場権獲得なので、この段階で北京行きキップは消えたが、3位決定戦を粘って勝ち、銅メダルを取った。

 96kg級の磯川孝生(山口県協会)は、1回戦でモンゴル選手に勝ったものの、2回戦で世界3位のクルバン・クルバノフ(ウズベキスタン)に敗れ、敗者復活戦でもカザフスタン選手に敗れ、3位決定戦に回れなかった。

 各試合結果は下記の通り。


 ◎男子フリースタイル

 
【60kg級】高塚紀行(日大)     2位=15選手出場

1回戦 ○[2−0(4-0,3-0)]Shan Chengde(泅成徳=中国)

 《試合経過》第1ピリオド開始早々に高塚がタックルから押し出して1点先制。すぐに2度目のタックルでバックを取り2−0。その後、2度押し出して4−0。第2ピリオドも2度押し出して前半で2−0。相手の巻き投げをこらえてバックを取り、3−0とした。

2回戦 ○[2−0(3-1,2-0)]Sukhbaatar Sengodorj(モンゴル)

 《試合経過》高塚が開始早々に右脚へのタックルで1−0としたが、中盤にもつれて押し出され1−1へ。しかし、ラスト33秒で相手を押し出して2−1とすると、最後は相手のタックルを回りこんで3−1とした。第2ピリオドも前に圧力をかけ、開始37秒で場外に出して1点。ラスト35秒にもがぶりの体勢から外へ押し出し、2−0とした。

【1回戦第1P】開始10秒で相手を場外に出し、1点先制の高塚(赤)。 【1回戦第2P】前半、相手崩して場外際に押し込み、場外へ出す。 【2回戦第1P】2−0のあと、相手のタックルをつぶした高塚(青)。 【1回戦第2P】相手に攻撃をさせず、2−0で高塚が勝つ。、

準決勝 ○[2−0(1-0=2:01,1-0)]Mohammadi Pahne Seyedmorad(イラン)

 《試合経過》第1ピリオドは0−0。レフェリーのボールピックアップで勝った高塚が確実にテークダウンを決めた。第2ピリオドもお互いにポイントが取れなかったが、ラスト35秒、高塚は右脚にタックルに行き、場外へ押し出した。相手はタックル返しを仕掛け、レフェリーは相手にポイントを上げたが、足が出ており、高塚の1点。このポイントを守った。

【準決勝第1P】クリンチからの攻撃でテークダウンを決めた高塚(青) 【準決勝第2P】終盤、タックルで攻めて場外へ押し出した。 【準決勝第P】2006年世界チャンピオンに勝利。あと1勝!

決 勝 ●[1−2(0-3,4-1,1-@L)]Yogeshward Dutt(インド)

 《試合経過》第1ピリオド21秒、高塚は相手を場外に出して1点、その後も53秒、1分35秒に1点を取って3−0。第2ピリオドはタックルをすかされて場外に出され、さらに片足タックルで0−2へ。ラスト45秒に1−2と追い上げ、さらに攻めたが足を滑らせてしまって1−3。さらに1点を取られた。

 第3ピリオドは一進一退のあと、終盤に高塚が仕掛け、足首を取って場外へ出して1点を先制。ラスト12秒。相手の必死のタックルを一度はこらえたものの、2度目をがぶったと思ったがくぐられ、ラスト1秒に痛恨の1点を失った。

【決勝第1P】高塚(青)が3−0で先制。幸先いいスタート。 【決勝第1P後】あと1ピリオドの勝負。勝利が見えてきた。 【決勝第2P】連取を狙ったが、惜しくも落とし決勝の第3Pへ。 【決勝第3P】勝負のピリオド。ラスト12秒に横から攻めて1点。

【決勝第3P】ラスト1秒、くぐられて痛恨の1失点。 【決勝第3P】痛恨の逆転負け。喜ぶ相手とがっくりの高塚。 【表彰台】喜べない銀メダル。しかし世界王者を破った。

 【74kg級】長島和幸(クリナップ)   3位=11選手出場

1回戦 ○[フォール、2P1:16(4-0,4-0)]Ramze Salah Almarafi(ヨルダン)

 《試合経過》第1ピリオド中盤に長島がタックルから飛行機投げ気味にテークダウンを取って1点。アンクルホールドで2点、1点を加えて4−0。第2ピリオドもタックルからの飛行機投げで2点を取り、そのまま押さえ込んでフォールを決めた。

2回戦 ●[0−2(0-1,0-1=2:05]Cho Byung Kwan(゙炳官=韓国)

 《試合経過》第1ピリオド、0−0で試合が進み、終了間際に長島が仕掛けたがかわされて場外に出され、ラスト5秒に痛恨の1失点。第2ピリオドは0−0で2分間が終わり、レフェリーのボールピックアップ(コイントスに代わる)で負けた長島が、テークダウンを決められた。

【1回戦第1P】3−0としたあと、長島(青)は相手の反撃を耐えた。 【1回戦第2P】飛行機投げ気味に倒した後、がっちりフォール。 【2回戦第1P】一進一退が続いた第1P。わずかのすきで1失点。 【1回戦第2P】同じくポイントが取れない第2P。クリンチで敗れた。

敗者復活戦 ○[2−0(2-1,6-4)]Bazarbayev Abdurauf(ウズベキスタン)

 《試合経過》第1ピリオド、長島は相手の左から攻めてテークダウンを奪う。ラスト30秒に1−1とされたものの、立ち上がってラスト10秒に取り返して2−1。第2ピリオドは足をかけられて0−1。一本背負いからバックを取って1−1へ。グラウンド攻撃が失敗して一度は1−4とされたものの、バックを取り返し、アンクルホールドを2回転決めるなどして6−4とした。

【敗復戦第1P】1−1とされながら立ち上がって1点を返した長島(青) 【敗復戦第2P】リードされながらもあきらめず長島が逆転勝ち。

3位決定戦 ○[2−1(2-1,0-1,CL-4)]SHAPIYEV Abdulkhakim(カザフスタン)

 《試合経過》第1ピリオド、長島はローシングルで1点を失ったが、ラスト19秒、胴タックルで追いつき、ラストポイントで勝利。第2ピリオドは0−0のあと、ラスト20秒にローシングルを決められた。

 第3ピリオド、タックルと相手のグラウンド状態での場外逃避で2−0とリード。しかしタックルとアンクルホールドで2−2へ。相手がうっかりタイムをかけてしまって長島が3−2へ。その後、タックルで3−4と逆転されたが、ラスト9秒、長島が相手を場外に出して4−4とし、ラストポイントで勝った。

【三決戦第1P】ラスト19秒、胴タックルで追いついた長島(赤)。 【三決戦第3P】リードされながら、ラスト9秒に追いついて勝つ。 【三決戦第3P】強豪カザフスタンを撃破し銅メダル。 【表彰式】五輪出場資格は取れなかったが、表彰台へ。

 【96kg級】磯川孝生(山口県協会)    7位=10選手出場

1回戦 ○[2−1(4-1,1-5,@-1)]Burenbaatar Narantsetseg(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオド30秒、磯川が相手の右足首を取るタックルでテークダウンを取り、ガッツレンチで3−0。くぐりタックルで1点を追加。終了間際にタックルを受け、場外逃避を取られて1点を失ったが4−1。第2ピリオドは磯川が押し出して1点を先制したものの、後半、両差しから倒されて1点を取られ、ガッツレンチで1−2へ。終了間際にタックルを仕掛けたが回りこまれ、回されて1−5へ。

 第3ピリオドは中盤、タックルを回りこまれて1失点。磯川はラスト14秒、相手の右脚にしがみつき、こらえられながらもラスト2秒、バックを取って1−1に追いつき、ラストポイントで勝った。

2回戦 ●[0−2(0-3、TF0-7=1:12)]Kurbanov Kurban(ウズベキスタン)

 《試合経過》第1ピリオド、一進一退後のラスト30秒、磯川はバックを取られ、ガッツレンチで回されて0−3。第2ピリオドは中盤にバックを取られ、ガッツレンチを3回転連続でかけられて0−7で敗れた。

【1回戦第1P】全日本王者に代わってアジアのマットに立った磯川。 【1回戦第1P】足首を取ってタックルで先制し、初戦勝利。 【2回戦第1P】世界3位と相対した磯川。前半はこらえたが…。 【1回戦第2P】0−1とされたあと、連続ガッツレンチを防げなかった。

敗者復活戦 ●[0−2(TF0-6=1:03,TF0-7=0:47)]Shabanbay Daulet(カザフスタン)

 《試合経過》第1ピリオド、相手の巻き投げをこらえた磯川だが場外に出されて1失点。2点目を取られた後ガッツレンチを受け、タックルで反撃を試みたがタックル返しで0−6へ。第2ピリオドはバックを取られた後、ガッツレンチを3回転受けてしまい、0−7とされた。

【1回戦第1P】磯川は逆転を狙ってのタックル、しかしタックル返し−。 【1回戦第2P】第2ピリオドも力の差を見せられ、完敗してしまった。


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