米国・北ミシガン州学生チームを迎えて【2008年3月14日】

報告・写真提供=中京女大監督 栄和人





 3月1日から9日、米国女子チームの八田忠明コーチの仲介で米国の北ミシガン州の学生チーム13人(うちコーチ2人)を中京女大で受け入れました。本チームは、これまでにもカナダやスウェーデンなどのナショナルチームが練習に来ており、世界中のチームと積極的に交流してきました。

 八田コーチは、1月のワールドカップ(中国・太原)でマルシー・バン・デュセン選手に秘策をさずけ、吉田沙保里選手(ALSOK綜合警備保障)の連勝記録をストップさせたコーチです。一種の“天敵”になるのでしょうか。しかし、だからといって「中京女大で練習したい」という申し出を断るような小さな考えは持ちません。太平洋を越えてまでも学びたいという熱意をしっかりと受け止め、お互いの発展のために受け入れました。

 中京女大の選手は、吉田選手のように世界で闘っている選手ばかりではありません。まだ国際大会の経験がなく、あるいは少なく、外国選手のレスリングを肌で感じてほしいと思う選手もたくさんいます。そんな選手にとって、外国選手と毎日練習できるのは貴重な経験になります。私たちにとっても、米国選手の練習参加は大いに歓迎できることです。

■組みついた時に強さを発揮する米国選手

 来日の際、中部国際空港で予定を大きくすぎてもなかなか出てきませんでした。選手の1人のバッグが紛失し、それで手間取ったようです。2日後、その荷物は他の人が間違って持っていったことが分かり、何とか本人のもとに戻ってきましたが、北ミシガン・チームにとってはスタートから大変な遠征になったことでしょう。

 来日した選手の実力は、吉田選手は伊調千春・馨の姉妹(ともにALSOK綜合警備保障)には及ばない選手で、その他の全日本チャンピオン・日本代表級の選手と比べても劣るレベルだったと思います。しかし、パワーは日本選手にはないものを持っており、腕を取られて組みつかれ、そのまま何もできない選手もいました。

 日本選手は離れた状態からタックルへ行くのが普通です。組みつかれてしまってからの反撃パターンを考えるのに役に立った選手が多かったと思います。51kg級で今回のアジア選手権に出場する甲斐友梨選手(アイシンAW)は「実力的には自分の方が上だと思うけど、外国選手特有の組んでくる強さと、返し技を学んだ」と振り返っています。

■最高の練習を経験し、アジア選手権で燃える!

 何よりも、慣れない生活環境の中でも必死に練習し、何かを学んで帰ろうという意志が強かったと思います。寝るところは、大学内の宿泊施設(和室)で、昼が学食で食事をし、夜は私たちの寮で夕食。多くの選手にとって初めてと思われる日本式スタイルですが、不平不満を言うこともなく、溶け込もうとする姿勢がありました。

 曲がりなりにも選抜されて遠征してくる選手です。どんな選手でも何か光るものがあるはずです。あなどることなく、学ぶものはしっかり学ぶ…、それが技などではなく練習に打ち込む姿勢であっても、どんな小さなことであっても自分の血とし肉としようといった気持ちが、実力の養成につながっていくのだと思います。

 その意味で、とても有意義な北ミシガン・チームの参加でした。北京五輪の日本代表に決まった3選手のほか、51kg級の甲斐選手、59kg級の梶田瑞華選手、67kg級の新海真美選手にとっては、アジア選手権前の貴重な練習ができ、最高に気持ちが盛り上がっています。

 このムードを韓国・済州島へ持って行って個々の選手が優勝を目指すのは言うまでもなく、チームのいいムードをつくって、北京五輪の出場権獲得を目指す浜口京子選手(ジャパンビバレッジ)を盛り立てたいと思います。

  



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