鶴巻宰(自衛隊)が世界3・5位を破って銅メダル…ハンガリー・カップ第1日【2008年3月3日】






 【ソンバテー(ハンガリー)=ビル・メイ記者】男子グレコローマンの団体戦の世界最強決定戦ワールドカップが終わり、3月1日、当地でゴールデンGP「ハンガリーカップ」が開幕。4階級が行われ、欧州遠征中の日本チームが出場し、74kg級の鶴巻宰(自衛隊)が昨年の世界選手権の3位と5位の選手を破って銅メダルを獲得した。

 鶴巻は4回戦(準々決勝)で2006年欧州2位のアレフ・ミチャロビッチ(ベラルーシ)相手に右肩を痛めて敗れながらも、敗者復活戦で世界3位のクリストフ・グエノ(フランス)に2−0のストレートで勝ち。3位決定戦で世界5位のユリアン・クウィト(ポーランド)相手に固いグラウンドの防御を見せて1−2で勝った。

 鶴巻は試合後、肩をアイシングしながら「世界3位と5位を破ったと言っても、2人とも本当にそのぐらいの実力があるわけではないと思っていたので、気負いせずに戦えました」と話した。5試合の13度のコイントスで11度、相手に先に攻撃権を許す運の悪さだったが、それにもかかわらず銅メダルを取ったことは賞賛される。

 敗れたミチャロビッチ戦は、がぶり返しで相手を返そうとした時、鶴巻の肩が不自然に押されてしまったため。このピリオドは取ったものの、第2、3ピリオドを落としてしまった。肩を痛めたためというより、3ピリオドともコイントスで相手に攻撃権がいってしまったことが痛かった。1度でも鶴巻にチャンスがあったら、勝敗はどうなったか分からない。ミチャロビッチは決勝で昨年世界2位のマーク・マドセン(デンマーク)を破って優勝した。

 60kg級はダボール・ステファネク(セルビア)がしつこいレスリングを見せて優勝、84kg旧は世界3位のバドリ・カサイア(グルジア)が勝ち、120kg級はリザ・カルヤップ(トルコ)が元世界チャンピオンのドレミエル・バイヤーズ(米国)を破って優勝した。

 なお、日本の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)は最終日の66kg級に出場する。

 鶴巻および各階級の成績は下記の通り。


鶴巻(赤)は敗者復活戦で世界3位のグエノ(フランス)を撃破した。 3位決定戦で世界5位のクウィト(ポーランド)の攻撃を耐える。 攻撃に回るとガッツレンチで2点を獲得。第1ピリオドを取った。

銅メダルを目指した最後の防御。必死に守り切り、メダルを手にした。 2005年ユニバーシアードなどに続く銅メダル。次は金メダルがほしい!

 【74kg級】鶴巻宰(自衛隊)   3位=34選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[負傷棄権、2P1:57(2-1,2-1)]Krzysztof Kowalski(ポーランド)

 《試合経過》第1ピリオドのグラウンド攻防で防御となった鶴巻は、下からスィッチして1点を取り、30秒を守り切って2−0へ。攻撃では無理をせず、30秒が経過して2−1でこのピリオドを先制。第2ピリオドはスタンド戦で脇をくぐってテークダウンを奪い1−0。グラウンドの攻撃でポイントを取れなかったものの、その後の防御でしっかり守り、終盤に相手が足を痛めて棄権。

3回戦 ○[2−0(3-0,A-2)]R3 - df. Ari Harkanen(フィンランド)

 《試合経過》フィンランドのベテランに対し、スタンドで0−0のあと、グラウンドで守り切って1−0。攻撃ではガッツレンチを決めて3−0。第2ピリオドもグラウンドの攻防で先に防御となり、がぶりで返されて0−2とされた。しかし攻撃で同じくがぶり返しを掛け、2−2ながらもラストポイントで勝って勝ち進んだ。

4回戦 ●[1−2(3-0,0-3,1-3)]Aleh Michalovich(ベラルーシ)

 《試合経過》第1ピリオド、スタンドで0−0。グラウンドの防御で守り切って1−0。攻撃では、がぶり返しで2点取ったものの、相手が上になって鶴巻の右腕を不自然な形に抑え、審判が試合をストップして失点にはならなかったものの、肩を痛めてしまった。第2ピリオドは相手ががぶり返しでフォールの状態に入り、鶴巻はグラウンドの攻撃のチャンスを得ることなく0−3で落とした。

 第3ピリオドのグラウンドは、またも鶴巻が防御でスタート。守り切って1−0としたものの、攻撃に回って勝負をかけ、がぶり返しに失敗して1−3とされた。

敗者復活戦 ○[2−0(3-1,@-1)]Christoph Guenot(フランス)

 《試合経過》この大会はスタンド戦でのコーション(警告)・コールが多く見られたが、鶴巻もこの試合の第1ピリオドにコーションで1点を失った。しかし、グラウンドの防御を守り切って1−1へ。グラウンドの攻撃ではうまくローリングを決め、このピリオドを先制。第2ピリオド、0−0のあとコイントスで勝ち、お互いに決め手がなかったものの1−1のラストポイントで勝った。

3位決定戦 ○[2−1(3-0, 1-@, @-1)]Julian Kwit(ポーランド)

 《試合経過》第1ピリオド、グラウンドの攻防で30秒を守り切り、ローリングで3−0として先制。そのあと、スコアはともに1−1ながら、ラストポイントによって第2ピリオドを落とし、第3ピリオドを取って銅メダルを手にした。


 ◎各階級成績

 
【60kg級】=31選手出場

3位決定戦 Nurbakyt Tengizbayev(カザフスタン)○[2−0(4-3,3-0)]●Edward Barsegjan(ポーランド)

3位決定戦 Park Eun-Chol(韓国)○[2−0(3-0,3-0)]●Balint Korpasi(ハンガリー)

決    勝 Davor Stefanek(セルビア)○[2−0 (5-1,2-1)]●Hamid Bavavaz(イラン)

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【74kg級】=34選手出場

3位決定戦 Aliaksandr Kikinou(ベラルーシ)○[2−1 (1-2,2-1,2-1)]●Jure Kuhar(スロベニア)

3位決定戦 鶴巻宰(自衛隊)○[2−1 (3-0,1-@,@-1)]●Julian Kwit(ポーランド)

決    勝 Aleh Michalovich(ベラルーシ)○[2−1 (3-1,2-8=0:34,3-1)]●Mark Madsen(デンマーク)

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【84kg級】=33選手出場

3位決定戦 Kim Jung-Sub(韓国)○[2−0(@-1,3-1)]●Artur Michalkiewicz(ポーランド)

3位決定戦 Viachaslau Makaranka(ベラルーシ)○[2−0(3-0,3-0)]●Robert Papp(ルーマニア)

決    勝 Badri Khasaia(グルジア)○[2−0(2-0,3-0)]●Andrei Baranouski(ベラルーシ)

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【120kg級】=26選手出場

3位決定戦 Siarhei Artsiukhin(ベラルーシ)○[2−0(@-1,3-1)]●Guram Petrselidze(グルジア)

3位決定戦 Bashir Babajanzadeh(イラン)○[2−0(5-0,3-1)]●Loseb Chugoshvili(ベラルーシ)

決    勝 Riza Kalyaap(トルコ)○[2−1(1-@,3-0,@-1)]●Dremiel Byers(米国)



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