学生選抜チームが米国から帰国【2008年2月14日】







 「デーブ・シュルツ記念国際大会」に出場した学生選抜チームが2月13日、帰国した。西村盛正団長(南九州大監督)は「最後の最後まで必死に攻める気持ちがもう少しほしかった。リードされてラスト10秒となっても、まだ逆転できるチャンスはある。あきらめない気持ちを持ってほしい」と振り返り、解散に当たって選手に伝えた(右写真=左から2番目が西村団長)

 試合では、マルシー・バンデュセン(米国)の吉田沙保里選手の連勝記録ストップの影響を受けたわけではないだろうが、タックルとタックル返しの攻防の際にタックル返しにポイントが入るシーンが多かったという。西口茂樹コーチ(拓大副部長)によると、受ける側が完全に倒されているケースでも、相手の体に手を回して回転させてその肩が下に向くと、タックルを返したとみなされてポイントが入ったという。

 今回は米国の審判がほとんどで、欧州の審判はこうしたケースをどう判断するか分からないが、タックルに入った後には自分の体は絶対に返さないことを念頭において闘わねばならないようだ。

 今回はメダル獲得選手はいなかったが、男子フリースタイル55kg級の稲葉泰弘(専大=
左写真)が2004年アテネ五輪銀メダリストのステファン・アバス(米国)を2−0(1-1,1-0)で破る殊勲を挙げた。アバスは2005年のワールドカップで個人優勝したあと、負傷などのため戦列を離れていたが、北京五輪を目指して復帰。今月の16〜17日にロシアで行われるワールドカップの米国代表に選抜されたことを考えると、まだ実力は衰えていないはず。

 その選手を破ったことに、稲葉は「もうちょっと攻めたかったが、まあ満足のいく内容だった」と振り返る。相手が五輪銀メダリストということに対しては、「気後れは全くなかった。やってやろうじゃないか、という気持ちだった」と言う。

 しかし、タックルに入られてのしつこさなど、五輪銀メダリストを感じさせる強さはあったそうで、「見習うことも多かった」と言う。また準決勝で闘ったリズバン・ガジエフ(ベラルーシ)は昨年の世界3位の選手。第1ピリオドは0−0のクリンチで敗れ、第2ピリオドはタックルを仕掛けたあと取り切れず、逆にポイントを取られたという悔しい敗戦。「世界3位の選手ともそう大きな差はない」という確かな手ごたえをつかだ。

 まだ世界選手権などの日本代表にはなっていないが、2003・05年世界王者のディルショド・マンスロフ(ウズベキスタン)とも闘ったこともあり、国際経験は豊富。今回2人の世界トップ選手と闘った経験は、今後のさらなる実力アップにつながりそうだ。

 フリースタイル66kg級の米満達弘(拓大=
右写真)も、2回戦(初戦)で2006年世界王者のビル・ザディク(米国)を破る殊勲を挙げた。結果からすれば第1ピリオドを2−3で取られたあと、相手が負傷で戦闘不能となって棄権したものだが、「バテていました。あのまま試合が続いていたら、第2、3ピリオドを取って勝つことができました」と自信を持つ。第1ピリオドも米満が攻めてカウンターを受けての2−3だった。

 「タックルに入れた、と思って、そこで油断してしまうところがある。日本では通じても、強い選手が相手では、これでは簡単に返されてしまう。タックルに入ってから1ポイントを取るまで、もっと早く確実に体を動かすことが今後の課題です」と話し、この経験を今後に生かしたいところ。

 2人とも12月の全日本選手権で2位以内に入れず、北京五輪への道は全日本選手権2位の選手が出場権を獲得した場合に、わずかだが出てくる状況。すでに2012年のロンドン五輪を目指して長期的なスパンでの強化に入っている一方、「もしチャンスが出てきた時のために、いつでも闘える準備はしておく」と声をそろえる。

 今年は7月に世界学生選手権がギリシャで予定されており、その優勝という大きな目標もある。4年生で主将となる米満には、団体戦4冠王という大きな目標もある。北京五輪への道はなくなっても、燃える1年となりそうだ。両者の今年の飛躍に期待したい。
 



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