男子グレコローマンの全日本チームが新設のNTCで今年2度目の合宿スタート【2008年2月5日】







 男子グレコローマンの全日本チームが2月4日、2日前に完成式が行われたナショナルトレーニングセンター(NTC)で今年2度目の合宿をスタート。全日本選手権1位の選手と2位の選手との参考試合が行われ、3月のアジア選手権(グレコローマンは22〜23日、韓国・済州島)へ向けての日本代表争いが続けられた(右写真=練習試合で闘う84kg級の松本慎吾選手)

 合宿初日に代表争いの参考試合を入れるのは昨年までにはやっていなかったこと。日本協会の富山英明強化委員長(日大教)は「参考試合があることで、所属での練習で気を抜けない。だれもが緊張感を持って合宿に参加してきた。5kgオーバーとはいえ計量も行うので、節制する必要もある」と、その効果を説明。試合ではバテる選手もおらず、前回の全日本合宿からの約2週間、どの選手も必死の練習を積んできたことがうかがえた。

 試合を視察に来た自衛隊の宮原厚次監督は、現役を引退した直後のドイツへのコーチ留学で、ナショナルチームの合宿初日に練習試合を行う方式を経験している。「試合は最高の練習。スパーリングでやられるのと、試合でやられるのは全然違う。試合をやってこそ弱点が分かるし、負ければ悔しさも出てくる。スパーリングだけでは、それが分からない」と、このやり方を支持し、選手の頑張りを期待した
(左写真=練習試合のあとは練習開始)

 合宿は10日まで。その後、17日から全日本チャンピオンを中心としたメンバーがハンガリーへ遠征する。


 ◎ナショナルトレーニングセンター

 従来まで全日本チームの練習で使用していた国立スポーツ科学センター(JISS)に隣接したナショナル・トレーニング・センター(NTC)がこのほど完成。前回の全日本合宿の最終日に使用したものの、今回の合宿から本格的に使用を開始した。

 NTCは昨年1月に陸上トラックがオープン。今回は地上3階、地下1階の建物に10競技の練習場が開設され、地下1階にあるレスリング場は6面マットが入る広さ。宿泊施設は250人収容でサウナ付きの大浴場を併設。土地・建物の総工費は約370億円で、NTC統括責任者に就任した日本協会の福田富昭会長は「日本スポーツ界の50年越しの悲願」と話した。

 これまでは、同じ日本代表選手であっても各競技で試合や合宿のスケジュール・場所が違うため、選手同士が交流できる機会は意外と少なかった。「他競技との触れ合いは競技力アップの重要な要素」と言う関係者の声を受け入れ、各フロアや宿泊施設に選手や指導者が交流できるラウンジが設けられた。

 日本協会は、今後の全日本チームの合宿をNTCを中心に行い、北京五輪直前はプレ選手村的に恒常的な合宿を行う。ほかに、全日本選抜選手権予選会などの選考会も行っていく。

戦闘機1機分、約370億円をかけたNTCの屋内施設。柔道、卓球、体操など10競技の練習場がある。 3スタイルの全日本チームが同時に使用しても窮屈とは感じない広さ。1スタイルだと、逆に寂しいくらい。 地下1階だが、ガラス戸の向こうは地上への吹き抜けになっており、地下という圧迫感は少ない。

天井にはビデオカメラが設置。 レスリング場と同じフロアにある25mプールとジャクジー風呂。 各競技場間にあるラウンジ。異種競技間の選手の憩いの場となるか。


《iモード=前ページへ戻る》

《前ページへ戻る》