JOCエリートアカデミーがスタート…レスリングは5選手が参加【2008年2月2日】







 日本オリンピック委員会(JOC)の新事業で、オリンピックをはじめとした国際大会で活躍できるトップアスリートを育成する「JOCエリートアカデミー」がいよいよスタートする。来年度からレスリングと卓球が実施することになり、2月1日、練習拠点となるナショナル・トレーニング・センター(NTC)に参加選手と保護者が集まり、説明会が行われた(右写真=あいさつする日本協会の福田富昭会長)

 「JOCエリートアカデミー」は素質ある若い選手に対する“エリート強化システム”。このほど東京都北区に完成したNTCに選手を住ませ、専門のスタッフが強化から日常生活まで管理し、トップアスリートを目指させる。選手たちは親元を離れ、NTCに隣接する学校に通いつつ世界を目指す。NTCには寮母、栄養士もつき、日常生活まで面倒を見る。宿泊代、食事代、強化にかかる費用などはJOCが負担。専任コーチの給料はJOCと日本協会で負担する。

 今回、レスリングに集まったのは男子1選手、女子4選手の計5選手で、この日、面談などを行い、4月1日から正式に入所する。専任コーチは、インドネシアで選手指導の経験があり、昨年はタイで女子を教えていた由井俊郎さん(近大OB)で、NTCの近くに住み込み、朝練習から指導する。ほかに支援コーチとして、女子で5度世界一になった吉村祥子さん(エステティックTBC)が加わり、女子の指導を受け持つ。

 《参加選手》 白井勝太(福井・福井ク) 現小学校6年生 全国少年少女選手権8年連続優勝
         宮原  優(富山・高陵中) 現中学校1年生 全国中学生選手権優勝
         濱崎茉優(兵庫・猪名川ク) 現小学校6年生 全国少年少女選手権優勝
         花田彩乃(熊本・熊本市立高平合小) 現小学校6年生 柔道選手
         古市雅子(熊本・菊池市立泗水西小) 現小学校5年生 柔道選手

白井 勝太 宮原 優 濱崎 茉優 花田 彩乃 古市 雅子

 選手は、朝6時から約1時間の朝練習を男女混合で実施。その後、隣接する北区立稲付中学校(小学校は未定)へ通い、夕方は男子は都内の高校の練習へ、女子は吉村さんが指導する代々木クラブの練習に加わり強化する。NTCで全日本チームが練習する場合は、その練習に加えてもらうという。

 この事業の推進者であり、日本協会の福田富昭会長は「年間を通じてスポーツに打ち込み、世界チャンピオンになる夢を持って練習してほしい。来年からは他の競技の選手も加わると思うが、君たちが一期生になる。一期生としてのとして誇りを持ってほしい」と、高田裕司専務理事は「2016年に東京でオリンピックが行われることを前提として、強化していく。皆さんが20歳前後になるとき。レスリングはその年齢の時が一番体力があり、強くなる。不安もあるだろうが、私たちを信じてついてきてほしい」と、それぞれ激励した。

 由井コーチ
(右写真の左)は「ここまでしっかり準備されているのだから、あとはしっかりやらなければならない」と、責任の重さを感じてか、やや緊張の面持ち。「5選手でのスタートとなるけれど、厳選されているわけで、少数精鋭でいい」と話すとともに、最大のメリットを「ナショナルチームの練習に加われること。若くしてナショナルチームに交わることで、意識が世界へと向き、世界が身近に感じる」と説明した。

 吉村コーチ
(右写真の右)はボランティアコーチとなるが、会社もこの事業を理解し、全面的にバックアップの意向。「安部学院高校や都内の大学とも協力し、世界で勝つ選手を育てたい」と、都内の女子チームの大連立をも視野に入れ、強化に励むという(左写真=説明を聞く選手と保護者)

 白井勝太君の母・重美さんは「そばで子供の成長を見られないのは辛い。母としては寂しい」と本音を話しつつも、「本人がやる気を持っているから、背中を押してやりたい。たまに東京まで会いに来たいけど、本人から『来るな』と言われてしまった。オリンピック出場を目指して頑張ってほしい」と話す。浜崎茉優さんの母・博美さんは「うれしい反面、寂しい。でも本人がやる気になっているので、応援したい。好きなものしか食べない子なので、何でも食べて、体には気をつけてほしい」と応援しつつ、「私が12歳の時は、親元から離れることはできませんでしたね」と、わが子の自立心を褒めた。
 



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