【特集】善戦するも五輪チャンピオンの牙城崩せず…山本聖子(スポーツビズ)【2009年12月24日】

(文=山口毅、撮影=矢吹建夫)



 8月の「ポーランド・オープン」で優勝という堂々の復帰戦を飾った女子63kg級の山本聖子(スポーツビズ)だが、準決勝で2004年アテネ&2008年北京両五輪金メダリストの伊調馨(ALSOK総合警備保障)のが城を崩すことができなかった。

 今年初めに現役復帰宣言して“ママでも金メダル”を獲得するために、全日本選手権に照準をあわせることを宣言した。8月に海外で復帰試合を行ない、全日本選手権に出場するための条件である10月の全日本女子オープン選手権に出場して優勝と、山本にとって計画的に進んでいた。

 「天皇杯だけは特別な思いがある」と、ほかの大会との緊張感の違いを試合前に語っていた。自身初挑戦となる63s級で、どこまで通用するのかは、本人だけでなく会場のほとんどの人間が見守った。この階級には、伊調のほか、2008&2009年世界チャンピオンの西牧未央(中京女大)もいる。腕試しには文句なしのメンツが揃っていた。

 そんな山本の初戦は高校生を相手に第1ピリオドをテクニカルフォール、第2ピリオドにフォール勝ちと幸先の良いスタートとなった。準決勝の対戦相手の伊調馨は、2001年のジャパンクインーズカップで負けたことのある相手。しかし、当時の試合内容すら覚えていない山本にすれば苦手意識はない。

 試合開始と同時に左に回りながら、自分の有利な組み手を模索する山本。伊調も五輪チャンピオンらしく、ジワジワと前に出てくる。第1ピリオド終了間際に伊調が前に出てきたところを山本がカウンターの投げを決めて3−0とし(伊調サイドのチャレンジ=ビデオチェック要求=失敗で4−0へ、右上写真)、山本が第1ピリオドを制した。

 第2ピリオドになると伊調もタックルを仕掛けてくる。山本もがぶる。差し手争いが続くなか、バックに回られて1点を失い、山本はこのピリオドを取った。決着は第3ピリオドへ。両者ともに懐に入れさせないレスリングを展開したが、最後にバックに回られ、こらえながらも終了間際に両手と額をマットにつけてしまって1失点(左写真)。0−1で山本の復帰戦は準決勝でついえた。


 山本聖子の話「自分でもまだまだだと思います。自分から取りにいこうと思って前に出たところでバックに回られてポイントを取られました。もっともっと気持ちを前に出さないとダメですね。復帰してからまだ3大会ですから、試合経験も全然足りない。まずは気持ちの問題ですね。もっともっと前に出るという気持ちを作ってから体を作っていきたい。

 特に伊調選手対策という作戦はなく、タックルには気をつけていました。伊調選手は懐の深い選手なので、もっともっと前に出るレスリングをしないといけませんね。天皇杯という大きい舞台に戻ってこられたことが、うれしい。復帰しての手応えですか? それよりも課題がたくさん見つかったので、次につながるような練習を積んでいかないといけませんね」


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