【全日本選手権優勝選手】男子グレコローマン60kg級・松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)【2009年12月24日】

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)



 男子グレコローマンで2009年世界選手権8位の松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)が、五輪3度出場の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)を決勝で下し、うれしい初優勝を飾った。

 長くグレコローマン60s級を牽引してきた笹本が、2008年の北京五輪を機にいったんは一線から退き、代わってこの階級のエースにのし上がろうとしている選手が松本だ。今年の全日本選抜選手権では、笹本の国内連勝記録をストップさせた。60s級で笹本が敗れたのは実に10年ぶりながら、松本にとっては手放しで喜べる勝利ではなかった。「あの時は相手の反則(脚を使っての防御)で勝っただけ」。国内第一人者たる実力を証明するために、今大会にかける思いは強かった。

 決勝まで順当に勝ち上がった松本は、満を持して笹本と対戦した。無失点で決勝に残った松本に対し、笹本は準決勝であわや敗北というピンチを迎えるなど、内容は今ひとつ。決勝までの両者の出来が、ファイナルの舞台にもそのまま反映された。

 第1ピリオド、最後の30秒でグラウンドの攻撃権を得た松本は、揺さぶりをかけながらチャンスをうかがい、絶妙のタイミングでローリングを決める。続く第2ピリオドでは、世界でも高い評価を受けた笹本のリフト攻撃をしのぎ切って勝利。「今大会はしっかり自分の力で勝ちたかった。今日はどの試合もきっちり勝てたと思う」。内容の伴った勝利に、自然と力強い言葉が口から出た。

 今年は笹本に2勝を挙げただけでなく、世界選手権に出場し8位に入賞した。初めての世界選手権では「(海外の選手は)グラウンドのテクニックが思った以上にうまい。逆にスタンドの技術は、日本の方がうまい。スタンドでプレッシャーをかけていけば、チャンスはある」と感じたという。

 世界でメダルを手にするためにも、今後はスタンドの技術に加え、外国人選手に対抗できるグラウンドでの強さも必要になる。「まずは選抜に勝って、世界選手権のキップをつかみたい」。松本の頭の中には世界でファイトするイメージができているようだ。


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