【全日本選手権優勝選手】女子48kg級・坂本真喜子(自衛隊)【2009年12月23日】

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)



 女子48kg級は、坂本真喜子(自衛隊)が2年連続4度目の優勝を飾った。長年のライバルであった伊調千春(ALSOK綜合警備保障)が、北京五輪後は海外留学などで国内大会を欠場。今大会に復帰したが51kg級に参戦したことから、この階級は坂本の独断場となることが予想された。しかし3回戦で大学生(長沼美香=中京女大)、準決勝で高校生(阿倍千波=愛知・至学館高)にフル・ピリオドにもつれるなど、予想外に苦戦した大会だった。

 「若手の相手だと守ってしまうくせがある」と、3回戦の長沼とは3ピリオドでテクニカルポイントを1点を奪えず、すべてクリンチにもつれ込み、準決勝の阿部には1ピリオドを先制され、第2ピリオドも残り20秒までリードを許すという展開だった。「負けてしまうかも」。さすがの坂本も敗北の焦りを感じたようだが、その危機を救ったのは姉であり、コーチの坂本日登美だった。インタバルになり、姉の元に戻るたびに「絶対に勝てる」と激励され、マイナスの気持ちをプラスになったようだ。

 決勝では伸び盛りの三村冬子(日大)に対し、第1ピリオド、バックに回ると、フォールまであと一歩という状態に持ち込み、第2ピリオドも終盤にバックを奪って危なげなくストレートの勝利。やっと坂本らしいファイトが見られた。

 今年度は、ナショナルチームに48kg級のエースとして参加。5月のアジア選手権で3位、7月のゴールデンGP決勝大会で優勝した。しかし肝心の世界選手権では、まさかのメダル逸。それでも「精神的に強くなった」と、この1年での成長を口にした坂本。来年も、姉との二人三脚で世界の頂点を狙う。


 坂本真喜子の話「自分の試合はいつもヒヤヒヤさせてしまうのですが、準決勝と決勝も苦戦したけれども、気持ちが優勝へと向いていました。接戦でボールピックアップに何度もなりましたが、姉のおかげで気持ちを立て直すことができました。決して試合内容には満足していませんが、精神的に成長できたと思います。今大会前はスタイルを変えようとも思ったのですが、試合ではつい守りに入ってしまいました。伊調千春先輩とは正直闘いたくないです。今は心の支えとなっていただいてるくらいですから、ライバルとも思っていません」


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