【全日本選手権優勝選手】男子グレコローマン66kg級・清水博之(自衛隊)【2009年12月23日】

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)



 2008年全日本選抜選手権優勝の清水博之(自衛隊)が、2009年アジア選手権5位&世界選手権8位の藤村義(自衛隊)との同門対決を制し、悲願の初優勝を飾った。

 清水は準決勝で成長著しい学生二冠王者の岡本佑士(拓大)と対戦。若い岡本に苦しみながらも、最後は追いすがる岡本を振り切って決勝に進出。同門にして先輩、藤村との勝負に挑んだ。キャリアなら、世界選手権で入賞し、今大会に連覇をかける藤村が上。しかし、昨年の全日本選抜選手権では清水が勝利しており、ここまでの対戦成績は1勝2敗だ。

 清水は同門対決に臆することなく、自信を持って自分のレスリングを展開した。第1ピリオドは90秒で互いにポイントが奪えず、残り30秒で攻撃権は藤村へ。ここを清水は得意のディフェンスで粘り抜き、第1ピリオドを先制した。

 清水が成長の証を見せたのが第2ピリオドだった。グラウンドの攻撃権を得た清水は「この1年間、徹底して練習した」というローリングで勝負に出る。1発目は失敗に終わるも、終了のブザーが鳴る瞬間、「とっさに出た」というローリングで藤村の身体がクルリ。歓喜の初優勝を遂げた清水は「去年の選抜で藤村さんには勝っているけど、内容はディフェンスで守っただけ。今回はローリングを決めて勝つことができた」と声を弾ませた。

 これで今年は国体、全日本選手権と2冠を獲得。好調の要因について、本人は「ローリングの練習をしてきたから」と分析する。決勝で見せたように、攻撃力のアップが今季の躍進につながったのは間違いない。

 世界へ羽ばたくために、来年は勝負の年となる。「選抜に勝って、世界選手権やアジア選手権の代表になりたい。そのためには、グランドでもっとポイントが取れるようになりたい」。今回の勝利で藤村との対戦成績は2勝2敗の5分。来年の同門ライバル対決は、世界をかけたより激しいものとなるだろう。


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