【全日本選手権優勝選手】男子グレコローマン74kg級・鶴巻宰(自衛隊)【2009年12月23日】

(文=山口毅、撮影=矢吹建夫)



 “五輪王者キラー”鶴巻宰(自衛隊)が2年連続で男子グレコローマン74kg級を制し、来年の世界選手権代表に王手をかけた。2009年は鶴巻にとって飛躍の年といっても良かった。アジア選手権3位という結果だけではなく、9月の世界選手権(デンマーク)で北京五輪王者の(グルジアをを破るという偉業をやってのけたからだ。

 飛躍の年だっただけに、最後の全日本選手権を制しなければ、今年を締めくくることはできなかったわけだ。結果は、2回戦、準決勝、決勝と無失点で優勝できたことで、自分なりにいい幕を下ろせた1年となった。とはいえ、決勝の角功介(自衛隊)戦はお互い手の内を知り尽くしているだけに、「やりづらかった」のも事実。

 第1、2ピリオドとも90秒間、両者にポイントがなく、第1ピリオドはグラウンドでローリングを決めて1−0。第2ピリオドのグラウンドの防御は、角の攻撃を守りきっての勝利。失点ゼロは立派だが、世界で勝つことが目標の鶴巻にとっては、本人が言うところの攻めのレスリングを心がけたいところだ。

 「アジアで3位だったり、北京五輪王者に勝ったといっても、優勝できなかったわけですし、その北京五輪王者は前に一度勝ったことがある相手ですから(価値が低い?)」と鶴巻。世界で勝つために自分の足りないところは攻めのレスリングだけでなく、「ポカをしてしまうところ」と精神的に足りない部分であることも吐露した。

 「残り試合時間を見てしまい、安心してしまったり焦ってしまったりしてしまう。これからは時計を見ないで攻めるレスリングで勝ちたい」と、気持ちを切り替えることも宣言して、世界での飛躍を誓った。

 私生活では10月6日に長女の凛ちゃんが誕生した。全日本選手権に集中するため、まだ妻の実家(新潟)にいてもらっていて、そうそう会うことはできないが、「自分が頑張っている姿を、いつか娘にみてほしい」と笑顔で語った鶴巻。一家を支える彼は、自分のために、家族のために、生まれ変った自分で2010年に勝負をかける!


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