【全日本選手権優勝選手】男子グレコローマン84kg級・斎川哲克(両毛ヤクルト販売)【2009年12月23日】

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



 北京五輪までの日本男子の“ゴールデン階級”と言えた男子グレコローマン84kg級は、世界選手権代表の斎川哲克(両毛ヤクルト販売)が勝って2連覇を達成した。

 初戦は高校生(菊池峻=茨城・霞ヶ浦)相手に合計3点を奪われ、準決勝の天野雅之(中大)戦も第2ピリオドに微妙な判定があっての勝利。斎川らしからぬ試合内容だったが、決勝の伊藤諒(自衛隊)戦は豪快なそり投げを決めたり、グラウンドの防御から立ち上がる実力差を見せたりと快勝した。

「ホッとしました」と優勝後の第一声。準決勝までの2試合のもたつきを問われると、「内容はよくなかったけど、優勝できたからよかった」と結果オーライ。というのも、母校の日体大が不祥事のために活動停止となり、斎川の練習場所もなくなってしまったからだ。

 個人や有志で練習しているものの、質と量が全日本トップレベルを維持できるものだったかどうか。「練習不足だったことは確かです。こう(苦戦)なるかな、という気持ちはありました」という大会前だった。

 ある意味では「苦戦も当然」−。そんな気持ちが、思いつめることなく決勝に臨むことになり、引きずることのない闘いにつながったようだ。「OBで、大会に出られない学生選手の分まで頑張ろう、と話しています」とのことで、こうした気持ちもいい方向に出たようだ。

 所属で本格的な練習ができない分、年明け5日から断続的に始まる全日本合宿と遠征が待ち遠しいかとも思われるが、「(試合を終えた)今はそんな気にはなれません」と苦笑い。それでも世界選手権出場を経験し、「海外では技よりも、まず体力。パワーアップと走り込みで体力をつけたい」と話し、来年の飛躍を誓っていた。


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