2008年世界選手権２位の新海真美（アイシン・エィ・ダブリュ）が全日本選手権初優勝を達成した。「全日本のタイトルは縁がなく、いつも決勝で負けてばかり。こういう形で勝ててうれしい」とほっとした表情を見せた。大会が終わってみれば、７選手参加の中で新海の力は頭一つ抜き出ていた。「今日は差をつけて勝たなくてはいけないと思っていた」という世界選手権銀メダリストは、初戦（準決勝）にフォール勝ちすると、決勝で学生チャンピオンの飯島千晶（日大）と対戦。 ビッグポイントななかなか奪えないという展開ながら、パワーとスピードで飯島を寄せつけず、無失点（2-0,5-0）という危なげない内容で全日本の頂点に立った。
2008年の世界選手権に出場後、67kg級からオリンピック階級の72kg級にクラスアップした。しかし「体格で劣っているところがあると感じた」と振り返るように、全日本選手権で敗れるなど、思うような結果は残せなかった。「今回67kg級に戻したのは、72kg級から逃げたわけじゃない。67kg級でも力を磨けるし、まずは世界選手権の67kg級で優勝して、それから72kg級にチャレンジしたい。世界選手権で優勝した方が、気持ちも盛り上がる」。
08年の世界選手権が２位で終わっているだけに、忘れ物を取り戻すという意味合いもあるのだろう。もちろん最終目標はロンドン五輪。世界選手権優勝の先には、72kg級への再チャレンジが待っている。「力はある程度必要だと思うけど、相手の力を利用して取ったり、そういう部分を勉強したい。まだ伸びしろはあると思う」。タックルの入り方や、駆け引きなど、72kg級での戦いに向けて、様々な改善点が既に頭に入っている。
そのためにも、来年の世界選手権に出場し、優勝をしなければ始まらない。「来年？ 世界選手権のことしか考えていません」。実力者の新海が乗ってくれば、72kg級の選手たちも、うかうかはしていられないはずだ。