【全日本選手権優勝選手】男子グレコローマン120kg級・新庄寛和(自衛隊)【2009年12月22日】

(文=山内毅、撮影=矢吹建夫)



 2004年の男子グレコローマン120kg級で初優勝した新庄寛和(自衛隊)が、07年と合わせて三度目の王者にがついた。

 昨年の大会は中村淳志(カンサイ)に敗れて王座を奪われていただけに、新庄にとっては「絶対負けたくない相手」。両者は手の内を知り尽くしており、ともに攻めきれない決勝戦へ。差し合いの攻防で終始した第1ピリオドは、新庄がグラウンドの攻撃となり、中村が守り切って中村が取り、第2ピリオドも同様に差し合いの攻防がき、今度はグラウンドの攻撃となった中村に対し、新庄が守り切ってピリオドスコア1−1へ。

 運命の第3ピリオドも同じような試合展開となり、ボールピックアップは赤の新庄に。第1ピリオドを守り切られた新庄にすればプレッシャーもあったに違いないが、ラスト1秒に執念のローリングを決め、2−0で制して2年ぶりに王座を奪還してみせた。「最後のローリングは、がっちりホールドできたので、相手の体を返すことができました」と笑顔でコメントした。

 日本の重量級戦士として大いに期待がかかる新庄だが、オリンピックよりも何よりも、まずは2010年の世界での暴れっぷりが望まれている。2009年の世界選手権は、初戦敗退の成績よりも2008年アジア選手権(韓国)で勝った選手に負けたことを悔いている新庄。今回の大会を「昨年負けた選手なので負けるわけにはいかなかった」と振り返るように、一度負けた相手には負けないという新庄の“信条”にかけても、再リベンジせねばならない相手だろう。

 この精神力と、「補いたい」というパワー不足を、ウエートトレーニングを続けていけば、2010年には間違いなく今まで見た事もない新庄が、われわれの前に姿を現してくれるはずだ。今回の決勝戦でみせた土壇場でのローリングを、世界でさく裂させてくれることを、ファンも関係者もみんなが望んでいる。


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