【特集】2009年天皇杯全日本選手権展望【2009年12月13日】



 来年の世界選手権(9月、ロシア・モスクワ)の代表選考の資料となる天皇杯選手権は、12月21〜23日に東京・代々木競技場第2体育館で行われる。女子は北京五輪の代表4選手が出場、男子も昨年は出場しなかった北京五輪フリースタイル60kg級銅メダリストの湯元健一選手が出場するなど、ハイレベルの闘いが展開されそう。

 各階級の見どころをさぐった。 日程は次の通りで、開始時間はいずれも午前9時30分。各階級の組み合わせ抽選は大会実施日の前日に行われる。

21日(月)=男子グレコローマン96・120kg級、男子フリースタイル84・96・120kg級、女子59・67kg級
22日(火)=男子グレコローマン66・74・84kg級、男子フリースタイル60・74kg級、女子48・51kg級
23日(祝)=男子グレコローマン55・60kg級、男子フリースタイル55・66kg級、女子55・63・72kg級


男子グレコローマン 男子フリースタイル  女  子 

 ◎男子グレコローマン

 【55kg級】
 アジア選手権王者で世界選手権代表の長谷川恒平(福一漁業=右写真)が3連覇を目指す。今年だけで4度の国際大会で優勝し、世界選手権でも強豪のロシア選手を破るなど世界で通じる力があり、優勝候補の最右翼。

 全日本選抜選手権2位で国体優勝の平尾清晴(新潟県協会)、昨年2位の峰村亮(神奈川大職)がどこまで粘れるか。元世界選手権代表のベテラン、村田知也(三重・久居高教)も全日本選抜選手権3位で力は落としていない。

 全日本選抜選手権3位の禎卓矢(自衛隊)、全日本社会人選手権優勝で11月NYACホリデー国際大会(米国)優勝の清水早伸(自衛隊)、全日本大学グレコローマン選手権優勝の森大輔(日大)ら新顔が上位に食い込むことができるか。

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 【60kg級】
 世界選手権8位の松本隆太郎(群馬ヤクルト販売=左写真)と五輪3度連続出場の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)が決勝を争うか。全日本選抜選手権は松本が勝ち、笹本に国内のこの階級で10年ぶりに黒星をつけた。今度の対戦は?

 昨年優勝でアジア3位の佐藤亮太(カンサイ)、国体で佐藤を破って優勝した城戸義貴(自衛隊)、昨年2位の谷岡泰幸(自衛隊)、負傷から復帰する2008年アジア3位の北岡秀王(クリナップ)、全国社会人オープン選手権66kg級優勝の堀弘輔(自衛隊)らが両者の上位進出を阻むことができるか。

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 【66kg級】
 アジア選手権5位、世界選手権8位の藤村義(自衛隊=右写真)が2年連続優勝に挑む。阻止を狙うのは、昨年2位の清水博之、全日本社会人選手権優勝の井沢涼、全国社会人オープン選手権74kg級優勝の江藤紀友の自衛隊勢と、学生二冠王の岡本佑士(拓大)。岡本は全日本選抜選手権でも2位に入賞しており、今年急速に力をつけている。

 昨年藤村に惜敗した成瀬一彦(警視庁)や全日本選抜選手権3位の梅野貴裕(徳山大)らが上位進出を果たせるか。

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 【74kg級】
 アジア選手権3位の鶴巻宰(自衛隊=左写真)が、世界選手権でも北京五輪王者を破る殊勲を挙げ、ずば抜けた実力を見せた。全日本2連覇を確実に達成したいところ。

 昨年の全日本選抜王者で今年は全日本社会人選手権で優勝した葛西直人(自衛隊)、国体優勝の角功介(自衛隊)、全日本大学グレコローマン選手権優勝の中井伸一(中大)らが、その牙城を破れるか。

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 【84kg級】
 世界選手権代表の斎川哲克(両毛ヤクルト販売=右写真)が2連覇を目指す。昨年と今年の全日本選抜選手権ともに2位で今年の社会人王者の伊藤諒(自衛隊)、国体と全日本大学グレコローマン選手権を制した天野雅之(中大)、学生王者の岡太一(拓大)らがどこまで追い詰めることができるか。

 昨年の学生二冠王者の尾曲伸乃祐(青山学院大)は全日本選抜選手権で斎川をあと一歩まで追い込んでいる。今度は紙一重の差を破ることができるか。

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 【96kg級】
 2連覇を目指す世界選手権代表の北村克哉(FEG=左写真)に挑む一番手は、昨年の全日本選手権と今年の全日本選抜選手権ともに2位で、社会人王者の森保弘(三重・朝明高教)。

 学生二冠王の藤本健治(拓大)、昨年の全日本選抜王者&学生二冠王者の山本雄資(警視庁)全日本選抜選手権3位の松永隆司(和歌山県協会)らの若手が両者の間に割って入れるか。

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 【120kg級】
 昨年王者の中村淳志(カンサイ)と今年の世界選手権代表の新庄寛和(自衛隊=右写真)の争いが続きそう。

 全日本選抜選手権3位の沢田直樹(山口県協会)と平川臣一(専大)が両者の争いに割って入れるか。


 ◎男子フリースタイル

 【55kg級】
 世界選手権代表の湯元進一(自衛隊=左写真)が2年連続優勝を目指す。全日本選抜選手権で湯元を追い詰めた同門の田岡秀規(自衛隊)が国体王者&2006年アジア大会銅メダリストの実力を発揮するか。

 ゴールデンGP決勝大会2位と世界で通じる力を持つ稲葉泰弘(警視庁)は湯元と勝ったり負けたりのライバル。社会人王者の冨田和秀(自衛隊)も優勝を狙える実力者。全国社会人オープン選手権60kg級優勝の富岡直希(NEWS DERI)、学生王者の藤元洋平(早大)、大学王者の須藤学(日大)らの若手が一気に台頭するか。

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 【60kg級】
 オーバーホールのため昨年は欠場した北京五輪銅メダリストの湯元健一(ALSOK綜合警備保障=右写真)が復帰参加する。国体で優勝し試運転は成功。北京で見せた実力を見せられるか。対抗は学生二冠王の小田裕之(国士舘大)、全日本選抜選手権2位の大館信也(自衛隊)、湯元と北京五輪を最後まで争った2006年世界3位の高塚紀行(日大コーチ)らが挙げられよう。

 全日本選抜選手権3位の齋藤将士(警視庁)のほか、学生勢からは国体2位の松本桂(早大)、66kg級学生王者で階級を下げた石田智嗣(早大)、全日本大学選手権2位の内村勇太(拓大)らが上位へ食い込めるか。

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 【66kg級】
 世界選手権初出場で銅メダルを取った米満達弘(自衛隊)は、エントリーしたものの、左肩の負傷が完治しなかったため欠場を表明。全日本選抜選手権2位の佐藤吏(ALSOK綜合警備保障=左写真)、五輪2度出場で全日本選抜選手権3位の池松和彦(福岡大助手)、2006年アジア大会銀メダリストの小島豪臣(K−POWERS)らによって優勝争いが展開されそう。

 昨年2位で今年の大学王者の森川一樹(山梨学院大)、社会人王者の藤本浩平(警視庁)、全国社会人オープン選手権優勝の小原康司(自衛隊)らも上位を狙う実力はある。

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 【74kg級】
 世界選手権代表の長島和幸(クリナップ=右写真)に挑む一番手は全日本選抜選手権2位で国体王者の鈴木崇之(警視庁)になろう。他に、学生二冠王の高谷惣亮(拓大)、昨年の全日本選抜王者の萱森浩輝(新潟・新潟県央工高教)、社会人王者の高橋龍太(自衛隊)と実力者がそろっている。

 高校74kg級でずば抜けた強さを持っている北村公平(京都・京都八幡高)がどこまで通用するかも注目される。国体は96kg級で優勝した実力を発揮できるか。

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 【84kg級】
 世界選手権代表の松本真也(警視庁=左写真)が有力候補。昨年は優勝を逃しているだけに、今年こそ勝って来年の世界選手権へつなげたいところ。全日本選抜選手権3位の門間順輝(秋田県体協)と山本悟(岡山・新見高教)、大学王者の山口剛(早大)らがそれを阻むか。

 高校三冠王の細谷翔太朗(埼玉・花咲徳栄高)がどこまで通用するかも注目される。

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 【96kg級】
 世界選手権代表の磯川孝生(徳山大職=右写真)がこの階級の初優勝を狙う。昨年は北京五輪のグレコローマン代表から挑んできた松本慎吾に敗れて上位入賞ならなかっただけに、今年はしっかり優勝しなければなるまい。

 全日本選抜選手権決勝で磯川と闘った坂本憲蔵(自衛隊)、昨年2位で社会人王者の下屋敷圭貴(NEWS DERI)が打倒磯川を果たせるか。全日本選抜選手権3位の宮路高行(第一建設工業)、大学王者の金沢勝利(山梨学院大)らが上位へ食い込めるか。

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 【120kg級】
 世界選手権代表の荒木田進謙(専大=左写真)が2連覇を狙う。全日本大学選手権では“天敵”だったロシアからの留学生、ボリス・ムジコフ(山梨学院大)を破って日本代表としての実力を見せたが、国体では準決勝で下中隆広(国士舘大大学院)に敗れている。下中が立ちはだかるか。

 全日本選抜選手権2位の高林努(ミヨシ商事)、社会人王者の桜井紀宏(本間組)が両者の闘いに割って入れるか。


 ◎女 子

 【48kg級】
 世界選手権代表の坂本真喜子(自衛隊=右写真)が2年連続優勝を目指す。昨年と今年の全日本女子選手権ともに2位の三村冬子(日大)が、世界ジュニア選手権優勝の実績をもってどう挑むか。

 社会人チャンピオンでゴールデンGP決勝大会3位の鈴木綾乃(ジャパンビバレッジ)、昨年3位で今年の学生チャンピオンの明尾弥紀(環太平洋大)、学生2位で世界ジュニア選手権44kg級2位の藤川千晶(早大)らが両選手の壁を超えることができるか。

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 【51kg級】
 2004年アテネ・2008年北京両五輪48kg級銀メダリストの伊調千春(ALSOK綜合警備保障)が、2年ぶりに国内大会に復帰する。昨年優勝の堀内優(日大)は手術後のリハビリで出場せず、世界3位の甲斐友梨(アイシン・エイ・ダブリュ=左写真)が迎え撃つ。甲斐の真価が問われる闘いになる。

 NYACホリデー国際大会2位の桜井宏美(代々木ク)、学生チャンピオンの清水愛(東洋大)が上位進出をかけて挑む。

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 【55kg級】
 2度の五輪を含めて世界を9度制している吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障=右写真)が大きくリード。松川知華子(ジャパンビバレッジ)がゴールデンGP決勝大会優勝の実績を持って挑む。

 世界ジュニア選手権5位の新井千明(早大)、全国高校女子選手権56kg級優勝の坂上嘉津季(愛知・至学館高)らがどこまで通じるか。

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 【59kg級】
 昨年優勝で世界選手権代表の山名慧(アイシン・エイ・ダブリュ=左写真)が、プレーオフで勝った世界V4の正田絢子(京都・網野高教)のリベンジを受ける。山名はゴールデGP決勝大会や世界選手権など国際経験を積んだ一方、正田もNYACホリデー国際大会で優勝するなど実力をキープしている。

 一方、山名は全日本女子選手権で敗れた伊藤友莉香(環太平洋大)にリベンジする立場でもある。伊藤はアジア選手権で優勝し、世界ジュニア選手権3位と若手の成長株。3選手による激しい闘いが展開されそう。昨年の世界ジュニア選手権63kg級3位で階級を下げた佐藤文香(中京女大)がこの争いに加われるか。

 63kg級社会人チャンピオンの島田佳代子(自衛隊)、昨年2位の中田絵理子(フォンテーヌ)も意地を見せられるか。

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 【63kg級】
 新旧3人の世界チャンピオンがそろった激戦階級になった。西牧未央(中京女大=右写真)は今年の世界選手権で2連覇を達成し昇り調子。世界チャンピオンの意地を見せられるか。2004年アテネ・2008年北京両五輪金メダリストの伊調馨(ALSOK綜合警備保障)は、10月にカナダの地方大会で優勝したものの、ハイレベルの大会は五輪以来。ブランクの影響はどの程度か。

 今年初めに現役復帰を決めた世界V4の山本聖子(スポーツビズ)は、8月のポーランド・オープン59kg級で優勝し、ブランクを感じさせない復帰戦を飾った。しかし63kg級の新旧世界チャンピオンとの闘いとなると、簡単にはいかないだろう。どこまで以前の力を取り戻しているか。

 過去の対戦成績は、伊調が山本に1戦1勝(2001年ジャパンクイーンズカップ)、山本が西牧に1戦1勝(2006年ジャパンビバレッジクイーンズカップ)で、伊調と西牧は対戦なし。

 アジア・ジュニア選手権優勝の立光志織(王子自動車学校)が成長の跡を見せられるか。

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 【67kg級】
 2008年世界選手権2位の新海真美(アイシン・エイ・ダブリュ=左写真)が、72kg級の闘いを経てこの階級に戻ってきた。優勝候補の一番手となるだろう。昨年2位で学生チャンピオンの飯島千晶(日大)がどう闘うか。

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 【72kg級】
 2004年アテネ・2008年北京両五輪銅メダリストの浜口京子(ジャパンビバレッジ=右写真)が復帰参戦する。今年8月のポーランド・オープンは5位に終わったが、その経験を生かして、どんなレスリングを見せてくれるか。世界選手権代表の佐野明日香は引退したので、対抗は67kg級世界選手権5位で階級を上げた井上佳子(中京女大)。初の72kg級参戦で、どんなレスリングを見せるか。

 昨年3位の鈴木博恵(立命館大)がどこまで食い込めるか。


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