【特集】攻撃したものの、勝利にはつなげられず…女子67kg級・井上佳子(中京女大)【2009年9月26日】

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



 金メダルの望みは消えてしまったが、銅メダルは確保したかった。女子67kg級・井上佳子(中京女大)のそんな気持ちが、バドラク・オドンチメグ(モンゴル)との3位決定戦の大半を攻撃するという内容から見てとれた。しかし、どんなに攻めてもポイントにつなげられなければ勝てない。

 第1ピリオドはカウンターの小手投げを受けてしまい3失点。第2ピリオドは0−0のあと、せっかくクリンチの攻撃権を取りながら、グラウンド状態で場外に逃げられノーポイント。勝利を手にすることはできなかった。

 「相手のペースに巻き込まれた。投げのある選手と聞いていた。警戒しすぎてタックルに思い切りがなかった」。試合の大半を支配していながら勝てなかったもどかしさをこらえ、井上はそう振り返った。

 「決勝なら負けてもメダルは取れる。3位決定戦は、勝つと負けるとでは大きな違い。それが緊張というか、硬くなってしまった」とも振り返る。3位に終わった5月のアジア選手権(タイ)でも、負けた準決勝の中国戦は1−2(0-1,2-1,0-1)の惜敗だった。「『惜しかったね』と言われるのは、もういい。惜しくても、負けは負け。だれとやっても接戦という状況から脱したい」−。

 反省の言葉が続く中にも、昨年に続いて世界チャンピオンに輝いたマルティン・ダグレニエ(カナダ)戦の第2ピリオド、タックルとニアフォールで3点を取れたことは、まずまずの自信になったこと。「後悔するようなことはしたくなかったので、思い切っていった」そうで、この気持ちをどんな試合ででも持つようになることが、勝つために必要と痛感した(右写真=世界チャンピオンを攻める井上)

 「勝つためにはパワーも必要だけど、精神力が大切だと思った。ラスト何秒で逆転という試合を多く見た。勝ちたいという気持ちが、勝ちにつながる。精神面の強さが大事だと思いました」。2年前と同じ5位に終わった世界選手権。前回は、大会の後に階級を変えるなどして、結果として試行錯誤の期間を迎えたが、今回は67kg級にしっかりと進路を定め、世界で通じる実力の養成に全力を尽くす。


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