【特集】世界V3のスタンカ・ズラテバ(ブルガリア)を意識しすぎた…女子72kg級・佐野明日香(自衛隊)【2009年9月26日】

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



 レスリングへ転向してから3年足らずの佐野明日香(72kg級=自衛隊)が挑んだ初めての世界選手権は、急成長を見せるアゼルバイジャンのディナ・イワノワに0−2で敗れ、ほろ苦い大会となった。

 「あんなに練習してきたのに、やってきたことが出せなかった」と唇をかみしめるように話した後、「組み合った時、強いという感じがなかった。ポイントを取られても取り返せるという思いが出てしまい、勝利への執念が欠けていたかも」と振り返った。

 同じブロックに世界V3のスタンカ・ズラテバ(ブルガリア)がいて、お互いに勝ち進めば3回戦で顔を合わせる組み合わせ。「闘ってみたい」という気持ちがつよすぎ、「目の前の試合に全力を尽くすことを忘れてしまった」とも言う。

 世界の大舞台のマットに上がることの緊張感はなかったそうだが、「相手を怖がってしまい、攻めることをためらってしまった」と言う。練習でやっている技を試合で使えるようにすることと、試合では開始から積極的に攻撃できるようにすることが今後の課題だという。

 第2ピリオドにタックルで1点は取っており(右写真)、練習の成果を全く出せなかったわけではない。「今まではタックルにもいけず、グレコローマンみたい試合をやっていた。タックルにいけさえすれば、ポイントは取れるような気がした」とも話す。だからこそ、必要なものは「攻める勇気です」。

 ズラテバが圧倒的な強さを見せていたこの階級だったが、ズラテバは3回戦で中国の名もない選手に敗れた。“独裁時代”は終わりを告げ、2012年ロンドン五輪へ向けての闘いは、新たな幕を開けた。まだ、だれもがほぼ横一線。本当の勝負はこれからだ。


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