【特集】不可解な判定にも言い訳せず!…男子フリースタイル55kg級・湯元進一(自衛隊)【2009年9月22日】

(文=保高幸子、撮影=矢吹建夫)



 男子フリースタイルで最もメダルを期待されていた選手といえる55kg級の湯元進一(自衛隊)は2回戦でリズバン・ガジエフ(ベラルーシ)に不可解な判定で黒星。敗者復活戦にも回れず、不完全燃焼の世界選手権となった。

 2回戦は第1ピリオド、片足タックルが成功し、押し出しながらテークダウンしてまず1点。続いてタックルに入りながら、うまく体を1回転させて相手をテークダウンしたことで1点追加し、試合は湯元がコントロールしているかに見えた。だが、相手陣営のチャレンジ(ビデオチェック要求)を待つまでもなくガジエフに2点入り、ガジエフがピリオドを取る形となった。

 湯元の体が回転した時に、バランスが崩れたように背中をマットに向けたためという理由で2点らしく、納得のいかないコーチがチャレンジを要求。佐藤満強化委員長(専大教)もマットに上がって抗議したが、裁定は変わらず、チャレンジ失敗でさらに1点がガジエフに入った。

 第2ピリオドで取り返せると思われたが、焦りがでたのか、ガジエフのローリングを守り切ることができず(右写真)、湯元の世界選手権は終わった。「納得いかない判定では?」という記者の問いには、「いえ、あれは、返されたんです。負けたので、(判定について何か言っても)言い訳にしかなりません」ときっぱり。

 しかし、負けたことでこれからの課題が見つかった。タックルからの展開は、「対日本人には自信があったんですが、まだ甘かったです」と省みる。また、ガジエフとの第2ピリオドでローリングにかかってしまったことは、「警戒していたのに回された。強かったです。タックルをしっかり切って、返さないとならない。勝負強さが足りないというか…」とうつむく。2試合しかできなかったことで、「まだまだ試合がしたい」と物足りない様子。

 「ワクワクする気持ちも、不安も両方ありました」という初舞台。それでも湯元はおおきな可能性を見せつけたといえる大会だった。「明日からすぐツリパン(シングレット)着て、練習場を走り回ります」と、気持ちの切り替えはできた。この経験で一回り大きくなり、さらなる強さを身につけて2012年ロンドン五輪へ向かっていく−。


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