【特集】打倒吉田の再現なるか!…米国の刺客はが18歳の新星、タチアナ・パディーヤ【2009年9月17日】

(文=樋口郁夫、参考=米国レスリング協会ホームページ)



 世界9連覇を目指す吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)の行く手をさえぎる選手は出てくるのか? 1年半前に吉田の連勝街道をストップさせた米国は、18歳のタチアナ・パディーヤを打倒吉田の刺客として送る。

 昨年の東京・世界選手権で、17歳にして銅メダルを獲得した選手(右写真=吉田の向かって右がパディーヤ)。17歳といえば、山本美憂(1991年47kg級)のほかにも、鍾秀娥(中国=1991年44kg級)、劉東風(中国=同75kg級)が世界チャンピオンに輝いた年だが、女子レスリングが世界的に普及してレベルの高くなった現在、17歳にして世界選手権のメダルを獲得することはかなり難しくなっている。

 パディーヤは「久々に表れた新星」と言っていいだろう。米国のテリー・スタイナー監督は「こんなに負けず嫌いで、攻撃的な選手を見たことがない。彼女には他の選手もとても刺激されている」と評価。本人も「負けることは嫌いです。レスリングだけでなく、サッカーでも、ビデオゲームでも。チーム内でランニング競争する時も、私は常にトップを走っています」と話す。

 昨年の世界選手権準決勝のタチアナ・ラザレバ(ウクライナ)からの黒星は「本当に悔しかった」と振り返る。この試合でひざを痛め、その後は満足に歩けない状況になったというが、「まけたままで終わるのは嫌」と3位決定戦に強行出場。北京五輪5位のアナ・マリア・パバル(ルーマニア)に第1ピリオドを取られながらも、第3ピリオド、フォールによる逆転勝利で銅メダルを引き寄せた(左写真=パバルのタックルを返すパディーヤ。前代表と同じく返し技が得意か)

 この大会での収穫は、意地の銅メダル獲得だけではなかった。48kg級でクラリッサ・チャンが優勝したことから、世界チャンピオンになるために必要なことを学んだという。「私は、クラリッサがこの試合に備えて、肉体的に、精神的にどんな準備をしてきたかをつぶさに見てきました。金メダルを取るためには、ハードトレーニングが必要であることも」。

 その収穫をもとに、この1年間でどんな成長を遂げたか。「吉田選手はとてもすばらしい選手だと思いますが、絶対に負けない選手だとは思っていません。どんな選手でも、チャンピオンから落ちる日は必ずやってきます。事実、吉田選手はマルシー・バン・デュセンに負けている。私は吉田選手を倒すことに全力を尽くします」。米国女子の新たな闘いがスタートした。


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