永島聖子(旧姓山本=フリー)が復帰第1戦を優勝で飾る…ポーランド・オープン最終日【2009年8月14日】



 【ワルシャワ(ポーランド)、樋口郁夫】女子のポーランド・オープン最終日は8月14日、当地で3階級が行われ、2006年6月以来、約3年2ヶ月ぶりにマットに戻った59kg級の永島(旧姓山本)聖子(フリー)は4試合に勝って優勝、復帰第1戦を飾った(右写真=優勝の永島とクレージー・ビーの阿佐光一郎コーチ=表彰式ではコーチも表彰される)。決勝は2005年世界2位のマリアナ・サスティン(ハンガリ)を2−0(4-1,5-0)で下した。

 永島は初戦(2回戦)で、2004年アテネ五輪にロシア代表として、2008年北京五輪にカザフスタン代表として、ともに55kg級に出場し、結婚して国籍を再びロシアに戻したオルガ・キソバ(旧姓スミルノバ)と対戦。フットワークを使った闘いでキソバを寄せつけず2−0で快勝。2回戦もロシアの若手選手をフォールに下した。

 準決勝は2007年63kg級欧州3位のガンナ・バシレンコ(ウクライナ)にタックルがよく決まり、1点を失ったもののピリオドスコア2−0で勝ち、決勝に進んだ。

 各試合結果・内容は下記の通り。


 【59kg級】永島聖子(フリー)         優勝=17選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[2−0(3-0,3-0)]Olga Kisova(ロシア)

 《試合経過》第1ピリオド46秒、永島ががぶって回り込み1点を先取。脇の下に腕を回してのガッツレンチは0点。1分37秒、相手のタックルを受けてバックに回り1点。終了間際にも1点を取って3−0。第2ピリオド、右足への片足タックルを狙われたが、逆に相手の足首を取り回り込み56秒で1点。1分40秒にもがぶってバックを取って1点を加え、ラスト6秒にも1点を取った。

3年2ヶ月ぶりのマット。アテネ・北京両五輪代表のキソバが相手。 第1ピリオド、がぶってエビ固め狙い、そしてバックに回って1点。 横崩しでポイントの追加を狙ったが、相手の肩が返らずに0点。 ラスト30秒にもタックルをかわしてバックへ回り1点。終了間際にも1点を加えた。

第2ピリオド、キソバに右足首を取られた永島。一瞬ピンチを迎えたが…。 体の柔らかさを使って自らの体勢に持ち込み、逆に1点を獲得。 第2ピリオド終盤、キソバのタックルを受け止め回り込む。」 復帰第1戦は快勝の白星。スピードで相手を翻ろうした。

3回戦 ○[フォール、2P1:48(TF6-0=1:25,F5-0)]MarGarita Fatkulina(ロシア)

 《試合経過》腕を取ってくる相手に動きを封じられた永島だが、第1ピリオド50秒、引き落として1点を先取。横崩しで2+1点、2点と取り、6−0のテクニカルフォール勝ち。第2ピリオドも50秒にがぶったあと回り込んで1点。タックルにくる相手をかわして1点を取り、腕を取ってフォールへ。

ロシアの若手選手との2試合目。相手は徹底して組み合ってきた。 第1ピリオドの50秒、永島は引き落としてバックへ回った。 続けて、またさきを狙うが、これはフェイントか? 相手の動きを冷静に見る。 またさきをこらえられるやいなや、相手の右腕ごと胴を巻いた。

横崩し地獄へ。相手は腕を極められているので防ぐことができない。 第2ピリオド、永島の腕を狙ってくるファトクリナ。徹底したコンタクト狙い。 1分30秒ごろ、相手のタックルをかわす永島。左腕で踏ん張る相手だが…。 その左腕を離さずに体を返し、一気にフォールへ持っていった。

準決勝 ○[2−0(2-0,4-1)]Ganna Vasylenko(ウクライナ)

 《試合経過》闘うマットが急に変わり、マイクで呼び出された永島。そのせいかどうかは不明だが、第1ピリオド、なかなか攻撃できなかった。しかし1分30秒、永島がくぐりタックルを決め、相手の体が一回転して2点を先取。そのままのスコアで終了。第2ピリオドは30秒に永島が正面タックル。相手のタックル返しをこらえて3点を先取。53秒にもタックルから場外に押し出して4−0とした。ラスト10秒を切ったところで、タックルを場外際でうまくかわされて1点を失ったが、4−1で勝った。

2回戦に続いて組み合ってきた相手。永島はしっかりがぶる。 第1ピリオド1分20秒すぎ、永島がタイミングよくくぐりタックルを仕掛ける。 相手は必死にこらえたが、かえって変な体勢となりマットへ落ちた。 思わぬ好機にフォールを狙う永島だが、これは逃げられ、第1ピリオドは2−0。

第2ピリオド30秒、永島が正面タックルを狙う。見事に決まったかに見えたが…。 相手のタックル返しで一瞬ヒヤリ。しかし、しっかりとこらえ3点獲得。 53秒にもタックルを狙い、テークダウンはならなかったが、場外へ出して4−0へ。 終了間際、タックルをかわされて場外に出されたが、4−1で勝利。

決 勝 ○[2−0(4-1,5-0)]Mariana Sastin(ハンガリー)

 《試合経過》第1ピリオドの開始25秒、山本がアンクルピックで相手の体を返して3点を獲得。40秒にも左足首をとって1点を加えた。終盤に組み合われ、場外に出されたが4−1でこのピリオドを選手。第2ピリオドは19秒に永島が相手を押し出して1点。1分13秒にこの日2度目のアンクルピックで3点を加えた。このあとのガッツレンチは立たれてしまって不発だったが、相手の足が場外に出て1点。5−0でこのピリオドを取った。

第1ピリオド25秒、永島はアンクル・ピックの先制攻撃。 相手を完全に仰向けにさせ、3点を先取。試合の主導権をにぎった。 永島の攻撃は続く。40秒にはサスティンの左足首にローシングル。 足首を取ったあとは着実にバックに回り、1点を追加。前半で4−0とした。

1分40秒、腕を取られて動かされ、場外に出されて1点を失ったが、4−1。 第2ピリオドは組み合いに対抗し、19秒で相手を押しだして1点を先取。 途中、腕をがっちりつかまれて動きを封じられもしたが、ポイントは許さず。 1分13秒、この試合2度目のアンクル・ピックでまたも3点を奪取。

ガッツレンチは立たれてしまって不発だったが、相手の足が場外に出て1点。 1点を失ったものの、ほぼ理想的な試合運びで3年2ヶ月ぶりの優勝を飾った。 表彰式で花束を受け取る。2006年4月のアジア選手権以来の国際大会優勝。 「全然考えていなかった」と言う優勝だが、金メダルを手ににっこり笑顔。


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