全日本女子チームが東京で今年度5度目の合宿スタート【2009年8月11日】



 世界選手権(9月21〜27日、デンマーク・ヘルニング)の代表を含む全日本女子チームが8月10日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで今年度5度目の合宿をスタート。帰国したばかりの世界ジュニア選手権の代表選手も含め、約40人、通い参加選手を含めると約60人という“大所帯”での合宿となった(右写真)

 練習では、世界ジュニア選手権を含めて今年4度の国際大会に帯同している藤川健治コーチ(自衛隊)が、世界の傾向を説明。恐るべきはロシアで、「ツー・オン・ワン」(両腕で相手の片腕をつかみ攻撃する)や、グレコローマン流の差しを多用、徹底したコンタクト・レスリングで動きを封じてくるという。日本はフットワークを使って相手を動かし、そこから攻撃するのが一般的なパターンだが、がっちりとつかまれ、1分、1分30分とポイントが取れないと焦ってしまい、自滅するパターンが多いという。

 「前半でタックルが決まってポイントを取れればいいが、こう着のまま後半に入ると、かなりの確率でポイントを奪われてしまう」そうで、つかまれて動きを封じられることのない打ち込み練習を注文した。グレコローマンのコーチでもある嘉戸洋コーチ(環太平洋大教)に差しの指導をしてもらうなど、組み合うレスリングへの対策に力を入れた。

 栄和人強化委員長(中京女大教)は、参加している選手数は多いものの、若手が多く、世界選手権代表と互角近くに闘える選手が少ない現状が残念そう。けがや諸般の事情で参加していない日本のトップ選手がいることを指摘したもので、「将来を考えればいいことだと思うが、全日本の1〜3位の選手は万難を排して参加してほしい。トップレベル選手同士が闘ってこそ、お互いのレベルアップがある」と話した。

 しかし、階級の違う日本代表選手同士が何度も闘ったり、坂本日登美コーチ(自衛隊)が積極的に日本代表選手の相手を務めるなど、各選手・コーチの姿勢は評価。「今年の世界選手権は、不安もあるが、どれだけできるか楽しみでもある」と結んだ。合宿は17日まで。

 なお、男子の全日本チームは8月中旬は全日本チームとしての練習は行わず、各所属での合宿に参加し、実力を養成する。味の素トレセンでは、専大、明大、大東大、警視庁などによる合宿が同時にスタートし、フリースタイル84kg級の松本真也(警視庁)、同120kg級の荒木田進謙(専大)、グレコローマン96kg級の北村克哉(FEG)ら世界選手権日本代表選手が参加。9日からは群馬・草津で日体大、早大などの合宿が始まっており、やはり日本代表選手が参加している。

藤川健治コーチによるコンタクト・レスリング対策の指導。ロシアの台頭は要注意だ。 前日の全日本ビーチ選手権ゲスト出場の疲れも見せず汗を流す吉田沙保里選手。 吉田(右)に挑む59kg級代表の山名慧。日本代表同士の激しいスパーリングが展開された。

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