【特集】“元レスリング不毛県”愛媛県から2階級で優勝【2009年8月7日】

(文・撮影=増渕由気子)



 もう、レスリング不毛地帯だなんて言わせない!――。インターハイの個人戦でただ1校、2階級以上制覇したチームは、かつてはレスリング不毛の県だった愛媛の八幡浜工だった(右写真=左から60kg級・近藤、栗本秀樹監督、66kg級・花山)

 60s級の近藤達矢は3月の風間杯全国高校選抜大会に続いて春夏連覇を達成した。決勝で網野の新川武弥(京都・網野)を破ると、こぶしを突き上げて喜びを爆発させた。春夏連覇の偉業達成に、近藤は「うれしいです。勝ててよかったです」と連発。

 今大会は昨年五冠王の北村公平(京都・京都八幡)や、今季国内無敗の森下史崇(茨城・霞ヶ浦)が敗れるなど波乱尽くし。MVP選出も、もめにもめた。その結果、84s級で春夏連覇した細谷翔太朗(埼玉・花咲徳栄)が選ばれた。

 同じ春夏連覇、しかも群雄割拠の軽量級の60s級を制しただけに、MVPを取り逃したことについて、近藤は少々悔しそうな顔をのぞかせた。「でも、失点が多かったし、内容はよくなかったので…」と話し、今月17日から行われる全国高校グレコローマン選手権(千葉・佐倉市)と9月の新潟国体での優勝に意欲を見せていた。

 一方、隣のマットでは、同期の66kg級・花山和寛が霞ヶ浦の砂川航祐に春のリベンジを成し遂げての優勝を決めていた。全国高校選抜大会では砂川に苦杯をなめ、「次は勝ってやろうと」誓った花山。栗本秀樹監督は、花山に「くっついていけ」とアドバイスした。スピードあるタックルを得意とする砂川に対して、花山が勝てるのは腰の重さ。グレコローマンも得意という強じんな下半身を使って、接近戦で勝負するように作戦を授けた。

 花山は開始早々からその作戦を実行。砂川との距離をつめて小手投げから相手をつぶし、そのままフォールを決めた。「よくやる技です。でも、接戦で勝つと思っていたので、早く勝ちすぎて実感がないです」とうれしそうに話した。次回大会の全国グレコローマン選手権、そして9月の新潟国体ではグレコローマンでの戴冠を目指す。


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