【特集】姉からパワーもらった鈴木芽衣(太田倶楽部)がV5狙った岡村優(だっぺク)を破る!【2009年7月27日】

(文・撮影=増渕由気子)



 第26回全国少年少女選手権大会の女子の目玉は、5連覇を狙った6年女子+45kg級の岡村優(だっぺクラブ)だった。岡村は、レスリングのマット以外でも茨城県では有名なスポーツ少女。つい先日、茨城県アマチュアゴルフ選手権大会に史上最年少の12歳で出場した。出場を決めた予選大会では、シニア選手を抑えて1位で通過している。

 将来はゴルフか、それともレスリングか―。才能ある岡村は、今大会で有終の美を飾って、今後、本格的に行う競技を決めるつもりだった。準決勝までは順当に勝利し、迎えた決勝戦。相手は、過去に1度しか負けたことがない鈴木芽衣(太田倶楽部)だ。4月の全日本女子選手権でも勝っている。いつもどおりに対戦すれば問題はなかったはずだった。

■姉の感動的な優勝をお手本にして臨んだ鈴木

 だが―。鈴木は数か月前とは別人だった。「いつも(岡村選手の)タックルが切れずに、テークダウンされていた」という鈴木は、手を前に出して、岡村の高速タックルを出させない。さらに、いつも力で負けていたため、「毎日練習してきました」と、パワーをつけてきたこともあたって岡村からストレートで勝利を奪い、悲願の全国チャンピオンの座についた(右上写真=優勝した瞬間、涙ポロポロの鈴木)

 鈴木が別人になれた理由がもうひとつ。それは姉・紅夏の存在だ。1ヶ月半前の沼尻杯全国中学校選手権で、紅夏は自身最後の全中で初優勝を遂げた。優勝した瞬間、大粒の涙を流してセコンドに抱きついたシーンは、大会のハイライトだ。「あの瞬間、私も感動して泣いてしまいました」と芽衣。練習は辛いが、努力は必ず報われる―。鈴木の小学生最後の大会の前に、姉が身をもって教えてくれた(左写真=鈴木と姉・紅夏さん、太田倶楽部の今村直樹代表)

 「辛い練習のとき、あの姉の姿を思い出して頑張ってきました」。これで姉とともに”チャンピオン”の肩書を手に入れた。次は姉と同じ全中チャンピオンを目指す。

■難なくV5の予定が、涙の準優勝に…岡村優

 一方、思わぬ形で小学生最後の大会を終えてしまった岡村は、ショックをかくせず表彰台の上ではボーゼン。その後も「相手の力が強かった」と涙が止まらなかった。「全中チャンピオンを目指せばいいのよ」と母の琴さんが、はっぱをかけると、涙をこすりながら「うん」とうなずいていた(右写真=悔しい銀メダルに終わった岡村)

 岡村と鈴木のライバル物語は、まだ始まったばかりだ。


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