坂本真喜子(自衛隊)、松川知華子(JB)、西牧未央(中京女大)が優勝…ゴールデンGP決勝大会第2日【2009年7月19日】



 【バクー(アゼルバイジャン)、ビル・メイ記者】国際レスリング連盟(FILA)が主催する賞金大会、ゴールデンGP決勝大会「ヘイダリ・アリエフ・メモリアル大会」第2日は7月18日、アゼルバイジャン・バクーで女子7階級が行われ、48kg級の坂本真喜子(自衛隊)、55kg級の松川知華子(ジャパンビバレッジ)、63kg級の西牧未央(中京女大)の3選手が優勝、それぞれ賞金1万ドル(約94万円)を獲得した。松川と西牧は2006年大会に続いての優勝。

 他に、51kg級の甲斐友梨(アイシン・エイダブリュ)が銀メダル、48kg級の鈴木綾乃(ジャパンビバレッジ)、59kg級の山名慧(アイシン・エイダブリュ)が銅メダルを獲得。それぞれ5000ドル(約47万円)、2000ドル(約18万8000円)の賞金を獲得した。

 坂本は準決勝で北京五輪銅メダリストのマリア・スタドニク(ウクライナ)を2−1で撃破。決勝では、交通事故による負傷から復帰した2007年欧州チャンピオンのロリッサ・オーザク(ロシア)に第1ピリオを落としたものの、第2・3ピリオドを連取して勝った(右写真=坂本と木名瀬重夫コーチ、坂本日登美コーチ)

 松川は初戦(2回戦)で世界V4のベテラン、39歳のグドルン・ホイエ(ノルウェー)を破ったあと、地元のアゼルバイジャンの選手に連勝して優勝を決めた。世界チャンピオンの西牧は、初戦(2回戦)で世界ジュニア2位の選手、準決勝で欧州チャンピオンを破ったあと、決勝で、昨年の世界選手権決勝の相手のリュボフ・ボロソバ(ロシア)を2−0で下した。

 甲斐は欧州1、2位の選手などを撃破して決勝へ進みながら、アジア・チャンピオンのタチアナ・バカチュク(カザフスタン)に0−2で敗れ、銀メダルに終わった。鈴木は初戦(2回戦)で2007年の欧州チャンピオンに、山名は初戦で昨年の欧州チャンピオンに、それぞれ敗れた。ともに組み合わせの関係で3位決定戦へ回り、白星を挙げて銅メダルを獲得した。

 72kg級の新海真美(アイシン・エイダブリュ)は2回戦で世界3連覇中のスタンカ・ズラテバ(ブルガリア)に黒星。敗者復活戦で欧州2位のロシア選手権に敗れで3位決定戦へ進めなかった。72kg級の佐野明日香(自衛隊)は2回戦で敗れ、敗者復活戦へ回れなかった。

 各選手の成績は下記の通り。(撮影もビル・メイ記者)

48kg級表彰式 55kg級表彰式 63kg表彰式

 ◎女子

 【48kg級】坂本真喜子(自衛隊)     優勝=12選手出場

1回戦 ○[2−0(2-0,3-0)]Annika Hofmann(ドイツ)

 《試合経過》坂本が欧州8位の相手に実力差を見せ、何度かバックへ回ってポイントを取り、一方的な勝利。

2回戦 ○[2−0(4-0,1-0)]Lindsay Rushton(カナダ)

準決勝 ○[2−1(1-0=2:14,1-1L,1-0)]Maria Stadnyk(アゼルバイジャン)

 《試合経過》相手は北京五輪銅メダリストであり、欧州を2度制した強豪。接戦となり、第1ピリオドは坂本がクリンチで決めて勝利。第2ピリオドにはスタドニクが首投げをミスしたもののタックルにつなげてラストポイントで勝利。第3ピリオド、坂本が片足タックルに入り、スタドニクがうまくカウンターで返したが、坂本が別の足を取ってバックに回り1点。その後の30秒に守り切った。

決 勝 ○[2−1(0-1=2:03,1-0=2:04,2-0=2:06)]Lorissa Oorzak(ロシア)

《試合経過》2007年欧州チャンピオンに対して、坂本はなかなかタックルに入れない。ローシングルを狙ったものの、オーザクの防御が強くてポイントならず、3ピリオドとも0−0で終わり、クリンチ勝負へ。第1ピリオドはオーザク、第2ピリオドは坂本が取った。第3ピリオドのクリンチは、オーザクがカウンターで返し、審判がオーザクに3点を挙げたものの、ジャッジ、チェアマンが坂本に2点を挙げ、坂本が勝った。

【決勝2P】1点を争う展開が続いた坂本(青)とオーザク。 【決勝3】坂本がタックルで勝負をかけるが、ポイントにならず。

 【48kg級】鈴木綾乃(ジャパンビバレッジ)     3位=12選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ●[1−2(3-0,0-2,0-3)]Lorissa Oorzak(ロシア)

 《試合経過》交通事故の負傷から復帰してきた2007年欧州チャンピオンに対して、鈴木は第1ピリオドを取ったものの、第2・3ピリオドは相手のパワーと勝負できず、タックルやローリングなどでポイントを許してしまった。

3位決定戦 ○[2−0(1-0,4-1)]Yana Stadnik(英国)

《試合経過》2005年欧州ジュニア・チャンピオンに対して、鈴木が押し出しポイントで第1ピリオドを先取。第2ピリオドは飛行機投げで勝利を決めた。

【3決戦】メダルをかけて英国選手と闘う鈴木(赤) 【3決戦2P】鈴木が飛行機投げを決め、銅メダルを引き寄せた。

 【51kg級】甲斐友梨(アイシン・エイダブリュ)      2位=10選手出場

1回戦 ○[2−0(2-0,2-0)]Emese Szabo(ハンガリー)

 《試合経過》欧州2位の相手に対して、甲斐がタックル、ゴービハインドなどでいいペースで試合を進め、快勝した。

2回戦 ○[2−1(4-0,0-1=2:30,TF6-0=1:43)]Ekaterina Krasnova(ロシア)

 《試合経過》4月の欧州選手権チャンピオンに対して、甲斐が片足タックルで第1ピリオドを取った。第2ピリオドはタックルが通じず、クリンチをつぶされて、ピリオドスコア1−1へ。第3ピリオド、甲斐が両足タックルを繰り返して入り、危なげなくテクニカルフォールで勝った。

準決勝 ○[2−0(1L-1,2-1)]Sofia Mattsson(スウェーデン)

 《試合経過》昨年の欧州2位の選手に対して、甲斐が片足タックルで第1ピリオドのラストポイントと、第2ピリオドの2番目のポイントを取り、勝負を決た。

【2回戦】欧州チャンピオンのタックルを防御する甲斐(青) 【準決勝】決勝進出をかけ、甲斐が粘り強くタックルを仕掛けた。

決 勝 ●[0−2(0-3=2:21,3-5)]Tatyana Bakatyuk(カザフスタン)

《試合経過》第1ピリオド0−0のあと、相手のクリンチ。甲斐はスイッチからうまくグリップを切って片足タックルを狙った。しかし、立ち上がった瞬間、アジア・チャンピオンのバカチュクのカニバサミを受けてしまう、3点を失ってしまった。第2ピリオド、バカチュクはトリッキーなレスリングを続け、横捨て身みたいな技とかがぶりで試合を決めた。

【決勝1P】クリンチの防御を切った甲斐(青)が反撃へ。 【決勝2P】しかし相手のカニバサミを受けてしまい、痛恨の3失点。

 【55kg級】松川知華子(ジャパンビバレッジ)    優勝=11選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[フォール、1P1:53(F4-0)]Gudrun Hoeie(ノルウェー)

 《試合経過》松川が世界V4のベテランに対し、両足タックルから押さえ込みに入ってフォール勝ち。

準決勝 ○[フォール、1P=1:48(F5-4)]Sona Ahmadli(アゼルバイジャン)

 《試合経過》昨年の欧州ジュニア2位の相手に松川は一本背負いできれいに投げられたが、すぐにバックを取り、通称“パンケーキ”を決めて逆転フォール勝ち。

決 勝 ○[2−0(2-0,TF6-0=1:25)]Yuliya Ratkevich(アゼルバイジャン)

 《試合経過》松川が元世界ジュニア2位の選手相手に安定したレスリングを見せた。第1ピリオド、両足タックルで先取。第2ピリオドは松川がテークダウンを取ってから、腕取りのローリングを3度決めてテクニカルフォール勝ち。

【決勝2P】松川(赤)が腕を極めてのローリングでポイントを重ねた。

 【59kg級】山名慧(アイシン・エイダブリュ)    3位=8選手出場

1回戦 ●[0−2(1-2,0-5)]Johanna Mattsson(スウェーデン)

 《試合経過》粘り強い試合をする欧州チャンピオンに対し、山名が場外ポイントで先制したが、第1ピリオド終了間際に逆に場外ポイントを許してこのピリオを落とした。第2ピリオドは、マットソンのタックル、カウンターがさえて勝負を決められた。

3位決定戦 ○[フォール、1P0:41(F4-0)]Irina Husyak(ウクライナ)

 《試合経過》山名はテークダウンしてからすぐに相手の腕と頭を押さえてクラッチを組み、けさ固めでフォールした。

【3決戦1P】山名(赤)はタックルのあと、けさ固めでフォールへ。

 【63kg級】西牧未央(中京女大)     優勝=10選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[2−0(4-0,4-0)]Paulina Grabowska(ポーランド)

 《試合経過》昨年の世界ジュニア2位の相手に、西牧は片足タックルとバックに回り、一方的な試合で勝利。

準決勝 ○[2−0(1-0,2-0)]Monika Michalik(ポーランド)

 《試合経過》2回戦と同じレスリングを続け、片足タックルとバックに回る試合展開で欧州チャンピオンを下した。

決 勝 ○[2−0(TF7-0=1:43,3-0)]Lyubov Volossova(ロシア)

 《試合経過》昨年10月の世界選手権決勝と同じ組み合わせ。この大会の昨年の覇者ボロソバはいろんな攻め方をやってみたが、西牧がタックルとバック回りで実力差を示した。ボロソバが1度、きれいな横捨て身技を決めたが、場外でノーポイント。第2ピリオドは西牧が冷静にゴービハインドを3度決め、優勝を決た。

【決勝】西牧(青)は昨年世界一を争った相手に対して、タックルなどで積極的に攻めた。

 【72kg級】佐野明日香(自衛隊)    7位=12選手出場

1回戦 ○[2−1(1-3,4-0,2-0)]Diana Mudrag(ルーマニア)

 《試合経過》佐野が投げ技で第1ピリオドを落としたが、その後、相手の投げ技を止め、タックル、ローリングなどで逆転勝ち。

2回戦 ●[0−2(0-1=2:02,0-1=2:02)]Ohenewa Akuffo(カナダ)

 《試合経過》世界3位のアクフォに対し、第1・2ピリオドとも0−0。アクフォが2度クリンチをものにした。アクフォは準決勝で世界チャンピオンのスタンカ・ズラテバ(ブルガリア)に敗れ、佐野の敗者復活戦のチャンスが消た。


 【72kg級】新海真美(アイシン・エイダブリュ)     8位=12選手出場

1回戦 ○[2−0(1-0=2:25,2-1)]Ochirbat Burmaa(モンゴル)

 《試合経過》新海はクリンチで第1ピリオドを先取。第2ピリオドは終盤に片足タックルを決め、2−0で勝利。

2回戦 ●[フォール、2P0:57(0-1,F0-6)]Stanka Zlateva(ブルガリア)

 《試合経過》スラテバが世界チャンピオンのプライドを見せた。第2ピリオド、カウンターのタックルからバック取り、持ち上げて新海の背中からマットに落として押さえ込み、フォール勝ち。

【1回戦】世界5位のモンゴル選手にタックルを仕掛ける新海(青)。 【2回戦】世界V3のズラテバに挑んだ新海だが、フォール負け。


敗者復活戦 ●[0−2(0-2,0-2)]Alena Starodubsteva(ロシア)

 《試合経過》欧州2位の相手に対し、新海は攻めあぐんだ。逆に前に崩され、バックに回われるなどしてポイントを失い、3位決定戦に進むことができなかった。


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