【特集】男子全日本チームが長野・菅平で恒例の“地獄特訓”【2009年7月12日】



 長野・菅平で合宿をしている男子両スタイルの全日本チームが7月10日、11日の両日、報道陣に練習を公開(右写真)。都会を離れ森林に囲まれた恵まれながらも、標高1300メートルと酸素が薄い環境の中での練習に、3日目(実質2日目)にもかかわらずどの選手にも疲労の色がありあり。

 佐藤満強化委員長(専大教)は「きのう(9日)の朝の野外でのトレーニングは2時間半、徹底的にやった」と振り返る。心拍機能の強化のため、インターバルのランニングを距離を変えて何本もやったそうで、心拍数(1分間の脈拍数)は200近くにいく練習が2時間半にわたって断続的に続いたようだ。

 選手は「あんなにきつい練習をやったのは、生まれて初めて」「死ぬかと思った」などと口にし、練習のすごさを物語っていた。同委員長は「わずかの差に多くの選手がひしめいいているのが世界のレスリング界。そこをとび出すためには、厳しいトレーニングを耐え抜くこと」と話す。

■両スタイルとも軽量級のメダル獲得に手ごたえあり!

 公開練習となった10日は、中日ということもあり午後のマット練習のみ。それでも6人のコーチが目を光らせ、最後の補強トレーニングまで手抜きを許さない内容。初めてレスリングを取材した記者は「いろんな競技を取材してきたけれど、これだけハードにやる競技はなかった」と、そのすさまじさに舌を巻いた。前夜に訪れた高田裕司専務理事は「自分もここで鍛えた。苦しい練習を乗り越えて力がついていく」と選手を激励した。

 11日午前は、当初は標高2300メートルの根子岳頂上までのランニングの予定だったが、大気の変化が激しく、安全のため中止され、2日前と同じく菅平ダボスと呼ばれる広場でのトレーニングに変更。ランニングと補強トレーニングとで2時間半、たっぷりと汗を流した(左写真)

 佐藤強化委員長は「あそこが痛い、ここが痛いと言ってくる選手が少ない。厳しいトレーニングをやらなければならないと選手一人ひとりがしっかり自覚をしてくれている」と、猛練習に臨む選手の姿勢を評価し、「(世界選手権では)フリースタイルの軽量3階級、グレコローマンの軽量4階級はメダルを取る力はある。重量級も上位入賞を目指せる力はついてきた」と、今年1月からの強化の手ごたえを話した。

 なお、今年の世界選手権は、これまでと違い試合開始が午後1時。6時間かけて敗者復活戦までを一気にやり、約30分休けいしたあとファイナルが始まるという日程に変更された。計量も前日夕方ではなく、前日の午前11時30分からで、過去例のないスケジュールになっている。佐藤強化委員長は「いつも通りだと思って朝9時からマットワークをさせてきた。これからの合宿はスケジュールを変えないとならない」と話し、「朝11時半からの計量では、(減量のきつい外国選手も)体力が完全に元に戻ってしまうなあ…」と、新たな対策の必要性も口にした。



《10日午後=マット練習》
前夜合宿入りした高田裕司専務理事のあいさつ。 佐藤満強化委員長のタックルの入り方の指導。 嘉戸洋コーチから差しなどの指導を受ける松本隆太郎 湯元進一(青)と田南部力コーチのスパーリング。

《10日夜=報道陣とのバーベキュー》
報道陣を迎えてのBBQ。長島和彦主将による乾杯。 報道陣は昨年から激減! しかしスタッフは心をこめて対応。 かくし芸の先陣を切った米満達弘の少林寺拳法と松本真也のボディビル。 負けじと日体大軍団が名物のエッサッサを披露。

《11日朝=菅平ダボスでのトレーニング》
根子岳登山は悪天候で中止され、菅平ダボスで地獄の特訓へ。 心肺機能強化のため、とにかく走らされた選手たち。 眼下にはすばらしい光景が広がるが、選手の目には入らない? 朝練習の最後は筋力トレーニングが数種類続いた。

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