【全日本選抜選手権優勝選手】グレコローマン55kg級・長谷川恒平(福一漁業)【2009年6月21日】

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)


 今年冬の欧州遠征で国際大会2大会(ニコラ・ペトロフ国際大会=ブルガリア、ハンガリー・カップ)連続優勝、5月のアジア選手権(タイ)でも無失点で優勝した新生ジャパンのエース、長谷川恒平(福一漁業)が、国内でも実力を発揮してこの大会2連覇を達成し、明治乳業杯を受賞するとともに初の世界選手権代表キップを手に入れた(右写真)

 初戦の2回戦を快勝したあと、準決勝ではこれまで一度も勝ったことがない相手で、元世界選手権代表の村田知也(三重・久居高教)にもグラウンドでローリングを決め、第2ピリオドの残り30秒のグラウンドでは世界で磨いたディフェンスをみせて、文句なしのストレート勝ち。

 決勝の相手は「ふだん、(練習先の)日体大で練習している相手」の平尾清晴(新潟県体協)。初戦、準決勝と同じように、第1ピリオドはグラウンドの優先権を生かしてローリングを決め、第2ピリオドではしっかり守るというスタイルで完勝した。

 「初戦の相手も、決勝の相手も、同じ日体大で練習しているため、スタンドの手の内が知られていた」と、本来得意であるスタンドでのテクニカルポイントがなかったことを反省点として挙げたが、青山学院大卒として初の世界選手権代表を決めたことに、「安心しました」と笑みを見せた。

 昨年、北京五輪予選となったイタリアのトライアルの初戦で負けて以来、国内外で白星街道を突き進んでいる。「北京五輪に出られず、悔しかった」と、そのその気持ちをバネに新生ジャパン一番の有望株に成長したが、「エースという自覚はないです。今年の世界選手権は、今の力がどれくらいなのか確認すること」と気負わず、世界デビューに臨む。

 「ロンドン五輪しか見えていません」。長谷川恒平の“ロード to ロンドン”が本格的に始まった。


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