【全日本選抜選手権優勝選手】フリースタイル66kg級・米満達弘(自衛隊)【2009年6月21日】

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)


 世界学生大会チャンピオンにして全日本チャンピオンのフリースタイル66kg級の米満達弘(自衛隊)が、落ち着いた戦いぶりで優勝を飾り、悲願の世界選手権初出場を決めた。

 いまやこのクラスでは第一人者と表現して間違いないだろう。戦前の予想通り、米満のレスリングは力強かった。本人が「1回戦は身体が硬かったけど、2回戦からよく動けるようになった」と振り返るように、この日は尻上がりに調子を上げた。

 準決勝では2004年アテネ・2008年北京両五輪に連続して出場を果たしているベテランの池松和彦(福岡大教)に第1ピリオドを奪われながら、その後は冷静にポイントを重ねて逆転勝ち。決勝では勢いのあった佐藤吏(ALSOK綜合警備保障)に第1・2ピリオドともに先制ポイントを奪われる展開になったが、ここでも慌てることは一切なかった。

 「1点を取られても、取り返せば大丈夫と思った」との言葉通り、取られた直後にあっさり逆転。その後はニアフォールに追い込んで突き放すと、優勝の瞬間は左腕で大きなガッツポーズを作って喜びを爆発させた。

 拓大4年の昨年、世界学生選手権(ギリシャ)を制し、この4月からは活躍の場を自衛隊に移した。環境の変化に戸惑うことはなく、むしろ「自衛隊に入って、レスリングに集中できる環境を手に入れた」と新しい環境は大歓迎。

 その影響もあったのか、5月にはアジア選手権(タイ)に初出場すると、準優勝という好成績をいきなり収めた。「外国人選手は力強いけど、組み手は日本人の方がうまいからタックルはけっこう入ることができる」。頼もしい言葉を口にする22歳は「世界選手権は初めてだけど、必ず成績を残したい。実力を試すというよりは優勝を狙いたい」と世界チャンピオンへの意欲も十分。

 2012年ロンドン五輪に向け、66s級に期待のエースが誕生したと言えそうだ。


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