【全日本選抜選手権優勝選手】グレコローマン60kg級・松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)【2009年6月22日】

(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)


 プレーオフまでもつれたグレコローマン60kg級の世界選手権の代表権を手に入れたのは、昨年12月の天皇杯全日本選手権で3位入賞を逃していた松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)だった。

 松本は2回戦で全日本王者の佐藤亮太(カンサイ)を下し、決勝で北京五輪代表の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)との世代交代対決を制し、世界選手権の権利を得るために佐藤との再戦(プレーオフ)に臨んだ。

 第1ピリオド、両者ポイントのないまま90秒が過ぎ、佐藤のグラウンドでの攻撃権だったが、松本がしのぎ切り先制。第2ピリオドも両者ポイントがないまま90秒間が経過。今度のグラウンドは松本の攻撃。このチャンスを逃さなかった。立ち上がろうとする佐藤をタイミングのいいそり投げを決めて1ポイントを獲得し(右写真)、世界選手権の出場権利を獲得した。

 今大会のこの階級のテーマは「打倒笹本」だった。全日本選手権では66s級に出場した北京五輪代表の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)が、本来の60s級に落としてきたからで、笹本の五輪3大会連続出場、世界2位などの実績を考えれば、これは当然のことだ。

 その笹本は決勝まで勝ち上がり、変わらぬ強さを見せたが、松本は世代交代とばかりに決勝で笹本を下してみせた。「越えなければいけない壁だと思っていました。結果オーライじゃないかと思います。最後は笹本先輩のコーション(警告=脚を使っての防御、左写真)でしたが、第1ピリオドで自分の武器であるローリングを決められたのは大きいですね。次に対戦する機会があっても、またローリングを決めたいと思います。とにかく今度こそは! という気持ちで決勝戦に向かいました」と松本。

 全日本選手権のメダル逸から挑まねばならない厳しい壁だったが、勝負の女神は松本に微笑んでいたようだ


 ◆松本隆太郎の話「世代交代だと周囲の人には言われてきましたので、自分も今度こそはという気持ちで試合に臨みました。まだ実感が沸かないのですが、意味がある勝利だと思います。世界選手権では自分の力を全部出し切って勝ってきたいです。(笹本は)天皇杯では66s級に上げてしまいましたが、すぐに60s級に戻ってくると思っていました」


《iモード=前ページへ戻る》
《前ページへ戻る》