【全日本選抜選手権優勝選手】フリースタイル120kg級・荒木田進謙(専大)【2009年6月21日】

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


 フリースタイル120kg級は第一人者の荒木田進謙(専大)が実力を発揮。3試合を無失点で勝ち抜き、決勝の高橋務(児島マリンプール)戦は第2ピリオドにフォール勝ちという内容で初の世界選手権出場を決めた。

 「去年も勝っている大会なので、負けるわけにはいかなかった。ホッとしています」と言う一方で、初戦(2回戦)と準決勝の第1ピリオドはともに0−0からのクリンチで取った内容に満足度は今ひとつ。「決勝はよかったけれど、最初と準決勝がふがいない試合だった」と話し、反省点が多い大会となった様子だ。「まだ課題だらけです」と、この優勝に慢心することなく、世界選手権へ向けて弱点を補強していきたいという。

 2006年のアジア・ジュニア選手権(UAE)は韓国、カザフスタン、イランなどを破って優勝。昨年の世界ジュニア選手権(トルコ)はトルコ、ウクライナ、米国を破っての3位入賞。今年5月のアジア選手権(タイ)では2勝を挙げての銅メダルを獲得し、国際舞台でも着々と実績を残してきた。

 ジュニアで世界3位ならシニアでも入賞する力がある、と言われており、その理論でいけば世界選手権でも上位入賞が期待される。しかし、こうした実績を列挙されても「実感ないですね」と話し、「今年の世界選手権も全力を尽くすけど、ロンドン五輪で勝てるように型をつくっていきたい」と、目先の勝利にこだわらず、じっくりと実力をつけていく腹積もりだ。

 重量級は常に海外派遣カットとの闘いが待っている。荒木田は「重量級には84kg級も96kg級もあるけれど、ボクが引っ張るつもりでやる」ときっぱり。国内で敵なしの絶対王者は、世界に目を向けて飛躍を誓った。


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