【全日本選抜選手権優勝選手】グレコローマン96kg級・北村克哉(FEG)【2009年6月21日】

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


 グレコローマン96kg級は全日本王者の北村克哉(FEG)が3試合のトータルポイント23−0という内容で優勝。フリースタイル120kg級で出場した2006年大会(中国・広州)以来の世界選手権出場を決め、「新ルールに不安はあったが、何とか対応できた。ひと安心です」と安堵の表情を浮かべた。

 世界選手権に出場するだけの実力を持ちながらグレコローマンに転向したのは、グラウンドが得意だったという理由が大きい。しかし今年からルールが変わり、1分だったスタンド戦が1分30秒となって、逆にグラウンドの比率が少なくなるという皮肉。だが、ここまできたら引き返すことはできず、今年に入ってからスタンドの練習に力を入れてきた。

 決勝の森保弘(三重・朝明高教)戦こそはスタンドでのポイントはなかったものの、準決勝までの2試合はスタンド技で取ることができた。練習の成果を出せて表情は明るく、「第1ピリオドを取ると楽になる。逆に取られると苦しい。まずスタンドでポイントを取れるようにしたい」と、スタンドの速攻力を今後の目標に掲げた。

 今回圧勝で優勝したからとって、そのまま世界で通用するものではない。スタイルは違うが1度出場した世界選手権と、グレコローマンの全日本王者として傘下した今年冬の欧州遠征で、外国の重量級選手の強さは身に染みて知らされている。「体格と体力が違うし、外国のグレコローマンはレベルが高い。(今年の冬は)いい経験をさせてもらった。その経験を生かし、世界選手権でも勝ちたい」と気を引き締める。

 グレコローマン96kg級は、前日本代表の加藤賢三が2007年世界選手権で5位入賞を果たしたことで、一躍注目された階級だ。重量級の復興の流れを受け継ぐべく、「スタンド、グラウンドとも課題だらけだけど、1からやり直し、世界で勝てる選手になりたい」と目標を話した。


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