【全日本選抜選手権優勝選手】フリースタイル74kg級・長島和幸(クリナップ)【2009年6月21日】

(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)


 フリースタイル74kg級は長島和幸(クリナップ)がこの大会初優勝を飾り、世界選手権初出場を決めた。2006〜08年に天皇杯全日本選手権を三連覇をしている長島だが、世界選手権はこれが初出場となる。

 初戦(2回戦)の江藤公用(専大)と準決勝の高橋龍太(自衛隊)と決して楽な試合ではなかったが、決勝の鈴木崇之(警視庁)戦では長島のいいところを出すレスリングで完勝という内容だった。鈴木は長島と同世代で、昨年の全日本選手権では階級アップ半年後にもかかわらず3位入賞を果たすなど地力のある選手だ。

 鈴木は初戦(2回戦)で“タックル王子”こと大学王者の高谷惣亮(拓大)を1−0、3−0で完封し、国際大会でも入賞歴がある萱森浩輝(新潟・新潟県央工高教)を破って勝ち上がってきた奈良部(山梨学院大学OB)を準決勝で破った。奈良部の勢いも準決勝では鈴木に止められてしまった。

 そんな鈴木も、全日本選手権3連覇を達成している長島の前では力が尽きた。第1ピリオドは長島が片足タックルから抱え上げてのテークダウンで1ポイント先制するとグラウンドでも加点して2−0。鈴木が両足タックルを仕掛け、場外へ押し出されて1ポイント返されたものの、第1ピリオドは長島が2−1で取った。第2ピリオドに入っても長島は自分らしいレスリングで片足タックルからテークダウンを奪い、グラウンドでローリングを決めるなどして5−0の完勝で優勝してみせた。


 ◆長島和幸の話「世界選手権は初めてなので、うれしいですね。日本代表として、ひとつでも多く勝てるように、そして優勝を目指します。明治乳業杯は今まで優勝できなかった大会だったので、練習してきたことを試合で出し尽くして勝ちたかった。対戦相手の鈴木選手は合宿などで何度も練習してきた同士なので、お互い知りつ尽くしているけれども、勝つことだけを考えていました。2回戦と準決勝は自分のレスリングができなかったのですが、決勝戦では自分らしいレスリングができたと思います。得意技も出せましたから」


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