【全日本選抜選手権優勝選手】グレコローマン66kg級・藤村義(自衛隊)【2009年6月21日】

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)


 日本レスリングのシニアの勢力図は東高西低。ここ20年間に世界選手権に出場した西日本学生連盟出身の選手は、仙波勝敏と鈴木崇之(いずれも立命館大)の2人のみ。そこに、3人目に名前を連ねたのは、徳山大出身の初の全日本チャンピオン、グレコローマン66s級の藤村義(自衛隊)だった。

 昨年5月に北京五輪予選の日本代表としてイタリアでの大会に出場し、世界で闘う準備はできていた。全日本選手権で初優勝し、今年5月のアジア選手権では入賞こそならなかったものの、強豪と内容の濃い試合を展開し、世界での手ごたえをつかんだ。「グラウンドのずらしができれば勝てる」。手ごたえ十分の大会だった。

 今大会は初戦シード。迎えた2回戦と準決勝は「内容がよくなかった」と反省したが、全日本選手権で北京五輪60kg級代表の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)を倒した岡本佑士(拓大)との決勝戦は、「若いので」と警戒はしたが、スタンド、グラウンドともに動きがよく、テークダウンを奪うと豪快な投げ技によるテクニカルフォールの連続(6−0、6−0)で、初優勝を決めるとともに、初の世界選手権出場のキップを手にした。

 シニアの公式戦としては、前記2大会に続く3度目の大会。藤村は「優勝目指して頑張ります」ときっぱり話した。

 藤村は北京五輪まで国内でぶっちぎりの強さを見せた飯室雅規(自衛隊)に一度も勝てなかった。その飯室でさえ、世界ではなかなか結果を出せなかった。飯室は引退したため打倒飯室を果たすことはできないが、世界で勝つことにより、“飯室超え”を果たしたいところだ。


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