【全日本選抜選手権優勝選手】フリースタイル84kg級・松本真也(警視庁)【2009年6月21日】

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)


 全日本選手権優勝の小幡邦彦(現山梨学院大職)が引退し、優勝者がプレーオフなしで世界選手権代表に決まるという状況のフリースタイル84s級は、3年ぶりに松本真也(警視庁)が代表に返り咲いた。

 「やっと戻ってこれました」とうれしそうに話す松本。2006年大会(中国・広州)で初出場ながら白星をマークし10位へ。北京五輪への青写真を描いた松本だったが、その後、国内で勝ち切れない大会が続いた。北京五輪代表は74s級から階級を上げてきた鈴木豊(自衛隊)に敗れて代表もれ。鈴木が引退し、心機一転で臨んだ2008年の全日本選手権では2回戦で学生王者の松本篤史(日体大)に敗れ、低迷期を脱せなかった。

 ちびっこからレスリングをはじめ、前人未到の高校8冠王(全国子江選抜大会2度、インターハイ3度、国体3度)を成し遂げ、大学でもエリートだった松本。初めて味わった挫折から復帰するのに3年を要し、「(復活するまで)長かったです」と心境を吐露した。

 以前と変わったことは「落ち着きが出てきたこと」。さらに、考えすぎてマイナス思考になるくせがあったため、コーチ陣たちに「褒めてもらって、持ち上げてもらうようにしたこと」が勝因となったようだ。

 松本が所属する警視庁は、北京五輪代表がなく、2008年は全日本選抜選手権、全日本選手権ともに優勝者ゼロに終わるなど、悔しい結果に終わっていた。その中で松本がまず復活優勝を遂げ、デンマークでの世界選手権(9月21〜27日)代表に決定。警視庁復活ののろしをあげたと言ってもいい。

 前回の世界選手権は自分で納得できるレスリングができた。「前回と同じように」と、3年ぶりの世界で活躍することが目標だ。


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